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11月 の 誕生石 を知っていますか?
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11月 の 誕生石 は トパーズ (黄玉) と シトリン (黄水晶) 。

この2つの石について、ご紹介していきます。

【 11月 誕生石 】

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11月といえば紅葉が深まる行楽シーズン

皆さんは11月というと何を思い浮かべますか?

秋が深まり、紅葉も見ごろ。

北国では初雪なんていうニュースが聞こえ始めます。

七五三といった家族の一大イベントも丁度この季節。

祝日もあるので行楽シーズンとして、お出かけの機会も増えるでしょうか。

そんな11月の日本の誕生石は トパーズ(黄玉) と シトリン (黄水晶)。

(こちらでは日本ジュエリー協会の掲載する誕生石を参照させていただいています。)

◇12か月の誕生石について詳しくはこちら→

シトリンは黄色水晶ですのでもちろん黄色。

トパーズはカラーバリエーションが豊富ですが、中には黄色系の色のバリエーションもあります。

どちらの石も見ているだけで元気になれそうな、そんな誕生石です。

それではご紹介していきたいと思います。

【 11月誕生石 トパーズ (黄玉) 】

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トパーズのイメージ写真

トパーズは花崗岩質ペグマタイトやクォーツの鉱脈中に作られます。

独自の結晶構造で硬く、密度も高いので、純度の高い無色透明のトパーズはダイヤモンドに間違えられることもしばしば…。

そんなトパーズは豊富なカラーバリエーションを持っています。

そのカラーによって、結婚4周年、結婚16周年、23周年を祝う宝石とされています。

■モース硬度

8 

結晶の上下方向に劈開性(※劈開とは結晶や岩石の割れ方がある特定方向へ割れやすいという性質のこと。)があり、強い衝撃が加わると内部に亀裂が発生することもあります。

■color 

無色、黄色、褐色、ピンク色、青色など。

トパーズは主に2種類に分けられます。

1つは屈折率が高く、長期間光にさらされても褪色しないタイプ。

これはブラジル産のインペリアルトパーズや、ブラジル・パキスタン産のピンクトパーズの一部(中にはもう1つのタイプが混じる事がある)。

もう1つは残りの大半のトパーズで色は無色や青、ブラウンなど。

現在出回っているブルートパーズはほとんどが無色のものに放射線を照射したもの。

天然のブルートパーズはごく僅かにあるものの、発色は薄め。

コチラのタイプは光に長時間さらすと褪色する傾向があります。

トパーズは本来無色透明。

ですが内部に含まれる不純物(フッ素やアルミニウム)が発色原因となり、様々な色合いが見られます。

バリエーションとしては赤や黄色、オレンジや茶色、薄いグレーなどなど。
宝石としては淡褐色のものが上質とされています。

加熱や放射線照射で人工的に色を変えたものもあります。

・ブルートパーズ

青~藍色

無色や淡い色のトパーズを熱処理、放射線照射することで濃い青色を出します。

有名なスカイブルートパーズや深い色合いのスイスブルートパーズ、ロンドンブルートパーズなど、一言で青といっても細かく分けられています。

無色のトパーズを青空色にするにはおよそ1千万ボルトの電子照射をします。

・オレンジパーズ

プレシャス・トパーズ(precious topaz)(貴重なトパーズの意)とも呼ばれ、アメリカ・ユタ州の州の石に指定されています。

上質で彩度の高いオレンジ色。

・シャンペントパーズ

シャンパンのような薄茶色。

・カラーレス

無色透明。

・ピンクトパーズ

名前の通りピンク色のトパーズ。

・インペリアルトパーズ

シェリーカラー(橙色~黄色~褐色)のトパーズ。

ブラジル産のものは深い金色~明るい黄色を示すことがあり、時にはすみれ色のものも。

茶色を含むトパーズはたいてい人工処理が施されています。

・ミスティックトパーズ

遊色効果をだすために人工的なコーティング(PVD(物理気相成長法)というコーティング処理)が施されたもの。

万華鏡のようにきらめく色合いで、昨今人気があがってきました。

基本的には品質の高い天然のホワイトトパーズにトリートメントし通常使用であれば永続性のある処理です。

年々新しいカラーバリエーションがでてきており、トワイライトトパーズ、フラミンゴトパーズ、ムーンライトトパーズなどなど。

光源や見る角度によって様々な表情が見られます。

■産地

主な産地はブラジルやパキスタン。

他にはアメリカのユタ州やロシア、タイ、カンボジア、アフガニスタン、スリランカ、ベトナム、ドイツやノルウェー、メキシコ、ナイジェリアなどなど。

そして日本でも産出します。

日本で有名なのは岐阜県恵那郡地方や滋賀県大津市、他は茨城県や山梨県です。

■歴史

・エジプト人はトパーズを「太陽の宝石」と呼んでいました。

トパーズの色は太陽神ラーの光によるものと考え、災害から身を守る力があると考えました。

・古代ギリシャ多くの古代伝承や信仰がトパーズの歴史を作り出しましたが、ギリシャやローマの人々はトパーズが太陽神ジュピターと関係があると考えていました。

そしてそのトパーズは自分たちに力を与えるものとして、崇められていました。

・聖書の中に出てくるトパーズは、エゼキエル書ではモーゼに与えられた「火の石」のひとつとされています。

また出エジプト記では胸当てにつけられた宝石として、ヨハネの黙示録ではエルサレムの城壁の土台に飾られた石のうちの1つとして登場します。

(ちなみにこの頃の「topaz」という言葉は黄色の宝石全般を指していたため、今日で言うトパーズではない可能性があります。)

・ルネサンス時代(1300年~1600年代)トパーズは魔法を解き怒りを払拭する力があると考えらていました。

また何世紀もの間、心臓の上にトパーズを着用する事で長寿や美貌、知性が強められるとして信じられてきました。

そのせいか、中世の裁判所では地位のある人たちが、良好な関係を築けるようにと、トパーズを身に着けたと言われています。

・1768年 ポルトガル インペリアトパーズが発見されます。

■由来や言い伝え

・語源がはっきりとしていないと言われていますが、こういわれています。

①ギリシャ語で「topazos」(トパジウス、トパゾス)(探し求めるという意味)

②サンスクリット語で「tapas」(タパズ)(火)

③産地である紅海の島のギリシャ名トパジオス(現在のザバルガート島で英名はセントジョーンズ島)周辺が霧深く島を探すのが困難だったため、島の名前にちなんで名づけられたといいます。

のちにこの島で発見されたのはトパーズではなくペリドットだったことがわかります。

 これはトパーズとペリドットが古代より混同されがちだあったためでもあります。

しかし最近では漁師が島を見失った時に使う「トパジン」

(ギリシャ語で推測や憶測の意味)と混同されたという説が有力です。

・現在ではトパーズは特定の石を指しますが、過去には黄色いジェムストーン全般を指す言葉として使われていました。

・マリー・アントワネットがとても愛した宝石だったと言われています。

・ポルトガル王家の王冠に輝く1,680ctの石。

ダイヤモンドであると考えられていましたが、実際は透明なトパーズであったとわかりました。

・日本にはトパーズで財を成した事から「トパズ勘兵衛」と呼ばれた、高木勘兵衛という方の記録が残っています。

日本では西洋の鉱石学が伝わるまで、トパーズ(黄玉)と水晶を区別する方法が無かったと言われています。


明治3年(1870年)現在の岐阜県(美濃国)で件の高木勘兵衛が「細くて糸のごとき」と表現する鉱石を発見したのが、日本で最初と言われています。

ですがこの時高木勘兵衛が発見したものは緑柱石(ベリリウムを含む六角柱状の鉱物。代表的なものはアクアマリン。)の特徴に近いことから、本当にそれがトパーズであったかは現在では知ることができません。

しかしその後も、水晶にしてはやや硬く、細工が難しい石が次々に採掘されました。

その石は高値で取引されたので、だんだんと近隣の住民たちからも注目を集めるようになります。

その後高木勘兵衛が教育博物館の方にその石を売った際に、初めてその石が「黄玉(トパーズ)」であると知ったと言われています。

・各地で巨大な結晶が見つかることもしばしばあります。

・19世紀インペリアルトパーズという名前はロシア皇帝に敬意を示して命名されました。

当時ロシアのウラル山脈で濃いピンク色のトパーズが見つかり、皇帝への敬意を示しインペリアル(帝国の、皇帝の、威厳のある、最上級の、といった意味)の名前が付けられたとか。

この宝石の所有権は皇帝にのみ許されたと言います。

■誕生石「トパーズ」のお手入れ & クリーニング

トパーズはモース硬度では8。

トパーズには劈開(※劈開とは結晶や岩石の割れ方がある特定方向へ割れやすいという性質のこと。)があるのでカットや研磨、石留の際には注意を払う必要があります。

靭性(※靭性とは衝撃に対してどのくらい強く、割れにくいかを示す指標。)もあまり高くないので、大きな衝撃や極度の圧力、激しい温度変化などで破損する可能性があります。

ジュエリーの職人であれば、破損の危険性を減らすために劈開方向がテーブル綿に対して15度の角度となるよう向きをあわせます。

そして石を保護するような石留でセットする、もしくはペンダントやブローチのような摩耗が少ないアイテムにトパーズを使用します。

スチームクリーナー、超音波洗浄機は避けてください。

温かい石鹸水で優しく洗い、しっかりと洗い流したのち水気を切ってください。

基本的にトパーズは照射処理や加熱処理が施されます。

また無色のトパーズをコーティングする処理もありますが、これは日常的な使用では問題ありませんが、研磨剤の使用や研磨用のバフは使えません。

また一般的には光に対して安定していますが、イエロー~ブラウン、赤褐色や濃褐色のトパーズは熱や日光に長時間さらすと退色する可能性があります。

そのため保管は日光や熱を避けた場所での保管がおススメです。

化学薬品等の影響はごくごくわずかです。

◇トパーズについてもっと知りたい方はこちらをどうぞ→


【 11月誕生石 シトリン (黄水晶) 】

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中心近くの大きい石の方がシトリンです。

可愛らしい黄色のシトリンは水晶(石英)の仲間。

日本では結婚5周年を記念する石とされています。

■モース硬度

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■color

シトリン(黄水晶)は和名が表すように水晶の仲間。結晶構造におよそ100万分の40程度の微量の鉄イオンが含まれることで黄色~褐色となります。

黄色味を帯びた石英をシトリンと呼び、色の濃淡は関係ありません。

明るい黄色からゴールドがかった黄色(ゴールデンイエロー)、オレンジ(マンダリンオレンジ)や赤味(マデイラレッド)がかったものまで、その色合いは様々です。

最高級と呼ばれるものは茶色がかっておらず、彩度が高い黄色~赤味がかったオレンジと言われています。

ここで1つ注意としては、天然のシトリンはほとんど市場に出回らないということ。

現在シトリンとして市場に出回っているものはアメシスト(紫水晶)もしくはスモーキークォーツ(煙水晶)を熱処理したもの。

しかしアメシストが産出される近くでシトリンも産出されることがあるので、この2つは兄弟石とも呼ばれます。

中にはアメシストとシトリンが混ざりバイカラーとなるアメトリンもあります。

天然のシトリンはブラジル、スペイン、ロシア、マダガスカルなどで、ごく稀に産出します。

そして天然のアメトリンはボリビア南東部のアナヒ鉱山で産出されます。

基本的には天然のアメトリンはボリビア産のみと言われ、市場のアメトリンもまた、シトリン同様に加熱処理でバイカラーとなったものです。

◇シトリンの兄弟石といわれるアメシストについてはコチラをどうぞ→

バイカラーはこの他にも白水晶とシトリンのものもあります。

バイカラーシトリンは形成過程で環境が変化することで産まれます。

色のもととなる物質(この場合はシトリンを形成するための鉄分)が結晶に含まれる時期により色の層が変化するのです。

もともと天然シトリンは、形成されたアメシストがマグマなどによって加熱処理が施されたり、白水晶に放射能が加わり黄色く発色したもの。

そのため現在流通しているシトリンに人工的な熱処理が行われていたとしても、鉱物として考えると同じ成分で同じ種類のものであることには変わりありません。

天然のシトリンが長い年月をかけて変化していく過程を、人為的に促進しているのがこの熱処理という訳です。

また同じ黄色系の水晶の仲間ではレモンクォーツもあります。

こちらは発色原因が鉄ではなく硫黄が成分中に含まれるもの。

シトリンよりはすこし緑がかった黄色です。

そしてなんといってもシトリンは色彩が似ていることから、シトリントパーズという販売名がつけられることもあるそう。

同じ11月の誕生石であるトパーズにはイエローがあるので、混同された時期もあったようです。

■産地

ブラジルやチリ、インド、スイス、フランス、マダガスカル、モザンピーク、タンザニアなどなど。

天然シトリンはブラジル、スペイン、ロシア、マダガスカル。

中でもブラジルのリオグランデ・ド・スル州はシトリンの名産地。

ここで産出されたものは市場で高い価値があります。

また近年ではベトナムでも発見されています。

■歴史 

・紀元前323年~紀元前30年頃ヘレニズム時代にヨーロッパ文明の基礎を築いたといわれるギリシャで初めて宝飾品として使われました。

ローマ人がはじめてシトリンを使用したのは丁度キリスト誕生の頃と言われています。

・そのころはカボッションに加工したり、沈み彫り手法であるインタリオ(古代から受け継がれてきた宝石彫刻技法)を用いたようです。

かれこれ何千年もの間、人々は水晶を宝飾品として利用してきました。

水晶そのものはもちろん、水晶の仲間でもある縞模様の瑪瑙も装飾品やお守りとして愛されてきたのです。

・平安時代 日本 書物の中に黄色ではありませんが、石英がでてきます。深根輔仁の「本草和名」の中で紫の石英が、薬草と混ぜて服用すると冷え性に効くとされていたようです。

(効能はおそらく薬草のもので、石英自体は内臓を傷つける危険性があるので、今では全く信じられないですよね。)

・1800年代イギリス貴族を中心にシトリンが大流行した時期があります。

当時トパーズがとても人気がありシトリンがトパーズによく似ていた為に流行したというのが真相のようですが、この時代から「シトリントパーズ」と呼ばれることがでてきたようです。

■由来や言い伝え

・シトリンの名前はフランス語でレモンを意味する「シトロン」から。

インド原産の柑橘種「シトロン」。

シトロン自体がラテン語のシトリーナから来ているとか。

シトリーナはそのまま「黄色」の意味。

シトロンはジャムや飲み物などに使われる果物ですが、レモンのように鮮やかな黄色をしています。

・古代には幸運をもたらすとして、邪悪な考えを追い払うお守りとして使われました。

・あらゆる病気の治療に用いられてきました。

ヘビなどの毒を取り除いたり、消化を助けたり、伝染病や糖尿病の治療に役立つと考えられていました。

・古代の人々は鉱物に特別な意味がある考えていましたが、シトリンは魔除けや病気の治療、繁栄といった意味で考えられていました。

今でも黄色の物は縁起がいいとされますが、そういった考えの名残かもしれません。

■シトリンのお手入れ & クリーニング

シトリンのモース硬度は7で靭性(※靭性とは衝撃に対してどのくらい強く、割れにくいかを示す指標。)を持っているので、日常生活で使用する上では問題なくご使用いただけます。

しかし急激な温度変化によって割れる可能性があります。

さらに長時間強い光にさらされると退色することもありますので、保管の際は日光等避けてください。


またフッ化水素酸やフッ化アンモニウム、アルカリ溶液は避けてください。

基本は温かい石鹸水で優しく洗浄したあとしっかり洗い流し、水気を乾かしてください。

超音波洗浄機は熱処理ではない着色が行われている場合やフラクチャー充填されている場合を除けば、使っても問題ありません。

しかし蒸気での洗浄は熱による破損が考えられますので、避けてください。

シトリンは石英(水晶)の仲間。

構造上どうしてもインクルージョン(内包物)やクラック(ひび)が多いです。

これは天然であることの証であり、それぞれの味です。

しかし宝飾品として扱う場合はワックスやオイルや樹脂などでエンハンスメント(石が本来持っている性質を引き出すために行う処理のこと。)が施されることもありますが、クラックの多いものは基本的にはビーズ型など比較的安価なアクセサリーに使用されます。

◇シトリンについてもっと知りたい方はこちらをどうぞ→

【 まとめ 】

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 11月 誕生石 、トパーズとシトリンについてご紹介してきました。

どちらも似ている発色であったために過去にはシトリントパーズと呼ばれ、シトリンはトパーズの代替品のような立ち位置のこともありました。

ですがどちらもそれぞれに魅力がありますよね。

もし11月生まれで黄色が苦手…という方がいらっしゃたとしても、トパーズなら他の色もたくさんありますし、シトリンでも色の濃淡やバイカラーの有無などで印象がかなり変わるので、もしかしたらお好みの一点が見つかるかもしれません。

またどうしても非加熱のシトリンを手に入れたい!という方でしたらアクセサリーは難しいかもしれませんが、鉱物の標本で探してみるといいと思います。

稀少なのですぐに出会えるかは保証できませんが、探す楽しみもまた醍醐味だと思います。