10月 誕生石 オパール と トルマリン について、ご紹介していきます。
【 10月 誕生石 】

皆さんは10月というと何を思い浮かべますか?
暑さが和らぎ、衣替えの季節でもある10月。
作物が実りのピークを迎え収穫祭が行われるところもありますね。
最近ではハロウィンを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
日本で10月は神無月(かんなづき/かみなづき)とも呼ばれます。
この由来は諸説あるのですが、一般的には10月に日本中の神様が出雲の国に集まるため、神様が留守になってしまうということで神無月(神様の集まる出雲だけは神在月)と呼ばれたとか。
そんな10月の日本の誕生石は オパール(蛋白石) と トルマリン (電気石)。
(こちらでは日本ジュエリー協会の掲載する誕生石を参照させていただいています。)
◇12か月の誕生石について詳しくはこちら→
10月生まれの方はとてもラッキーですよね。
オパールもトルマリンもカラバリエーションがとても豊富!
石は2種類ですが、とにかく迷ってしまうくらいです。
それではご紹介していきたいと思います。
【 10月誕生石 オパール (蛋白石) 】

オパールは重量の最大20%もの水分を含んでいるという宝石。
ここまで水分を含んでいる宝石はオパールの他にはありません。
国際鉱物学連合ではオパールを正式な鉱物としていますが、実際のところオパールは非晶質(結晶とは異なり、原子や分子が乱れた配列をしている個体のことで、構造的には液体とみなせるもの。ガラスやゴム、プラスチックなどは非晶質。 )。
なので厳密には準鉱物(純粋な結晶構造では無い鉱物)に区分されます。
これは簡単に言えば結晶構造が他の宝石と違うということ。
けれどこの結晶構造だからこそ、オパール独特の光の反射が見られるんです。
オパールと言えば思い浮かべるのは、特徴の1つでもある遊色効果ですよね。
幻想的な虹色に輝くあの煌めきは、2つとして同じものはありません。
■モース硬度
5~6
劈開性なし。(※劈開とは結晶や岩石の割れ方がある特定方向へ割れやすいという性質のこと。)
■color
オパールと一言でいっても大きくわけて2種類。
遊色効果をもつオパールをプレシャスオパール、遊色効果があっても不十分か、もしくは無いものをコモンオパールと分けています。
(プレシャスオパール)
オパールと言えば虹色の輝く様が一番に頭に浮かぶのではないでしょうか。
これは粒子の大きさによって光の屈折が変化することで異なる色を発生させるプレーオブカラー(遊色効果)によるものです。
この独特な美しい色彩はオパールの構造が生み出しています。
色が均一に、そして美しく出ているものほど高価であり、良質なものほど表面全体にプレーオブカラーが見られます。
色はホワイトやブラック、無色透明をベースに緑や青の輝きが見られるウォーターオパール、赤やオレンジで燃え盛るようなプレーオブカラーの見られるファイヤーオパール、鉄鉱石の間に入り込んだ状態で採掘されるボルダーオパールなど。
また少し特殊なものだとカンテラオパールと呼ばれるメキシコ産の母岩付きオパールでしょうか。
こちらは虹の卵などとも呼ばれます。
母岩ごとオパールを取り出して研磨されるのですが一般的にカボション形状であることが多く、そのフォルムが卵に見える事からそう呼ばれます。
母岩部分を卵の殻にみたて、オパール部分がその殻におさまっているような形状はとてもユニークです。
(コモンオパール)
コモンオパールはケイ酸鉱の1つで、成分中に水分を含有するオパールの中でも遊色効果のない石の総称です。
プレシャスオパールのようなキラキラとした華やかさはなく、石の地色しか見えないため宝石としての価値は高くありません。
しかしそれぞれに個性がありますし、鉱物コレクターに人気の高いものもあります。
色は様々でホワイト、グリーンやイエローが代表的。
グリーンの物はキャッツアイ効果がでるものもあり、ドラゴンアイといった通称で親しまれています。
乳白がかったピンク色のピンクオパールも流通していますが、こちらはコモンオパールと化学成分が非常によく似たパリゴルスカイトという鉱物。
そのため、鉱物としてコモンオパールを探しているなら他の色を選んだほうが良いかもしれません。
■産地
オパールは様々な場所で産出されますが、主にオーストラリア、エチオピア、メキシコ、ブラジルなど。
他には中央ヨーロッパやホンジュラス、インドネシア、マダガスカルなどでも鉱床が見つかっています。
オーストラリアは1915年にオパールが発掘されて以来「オパールの都」として知られ、ホワイトオパール、イエロー、オレンジ、茶色がかった赤などが産出します。
現在でも世界のおよそ7割のオパールがオーストラリアで採掘されています。
エチオピアではブラックオパールのほかにオレンジやホワイトなども産出します。
またメキシコではイエローやオレンジ、ファイアーオパールが産出することで知られています。
■歴史
・古代のインドで初めて発見されたと言われていて、その際に古代インドのサンスクリット語のウパラ(upala)(尊い石の意味)という意味をもつ名前がつけられました。
・ノニウスのオパール紀元前1世紀、ローマの議員ノニウスは巨大なオパールの指輪を持っていました。
そのサイズは大体6~10センチほどで、現代の金額に換算すると数十億円とも言われています。
将軍アントニウスは妻のクレオパトラの贈り物にとそれを譲るよう頼みましたが、それを断ったノニウスにアントニウスは怒りローマから追放したと言われています。
(追放と言えばアントニウス側からは聞こえが良いかもしれませんが、実際のところノ二ウス自身はオパールを手放すくらいなら喜んで街を出る、といったところだったとか…。)
・古代ローマ時代に当時の博物学者であるプリニウスが書いた書に「博物誌」という、動植物、鉱物、天文学などあらゆる知識に関して記述した本があります。
これは古代ローマ時代の歴史や芸術についての資料として珍重される全37巻の書物。
この中で「オパールは他の宝石の性質をすべて併せ持ち、それらはどの宝石よりも優れている」と記されています。
・メキシコで栄えていたアステカ文明時代には、ファイヤーオパールは「太陽神の化身」であるとされ、儀式に用いられ崇められていました。
■由来や言い伝え
・オパールはローマ時代にはオルパス(opalus)と呼ばれていました。
これはギリシャ語の「色の変化を見ること」という意味のオパリオス(opalios)という言葉が語源です。
このオルパス(opalus)、オパリオス(opalios)ともに、先述のウパラ(upala)(尊い石の意味)という言葉に由来しているとされます。
・結婚記念の14周年目を祝う宝石とされています。
・中世にはオパールを葉に包んで身に着けると盗人は透明になることができるとされていました。
・古代ローマではお守りとして病気や厄災から身を守るとされていました。
・アラビアの伝説ではオパールは雷とともに天から落ちると言われていました。
・19世紀の作家 サー·ウォルター·スコットは自身の小説の中で、不幸な主人公と運命を共にし滅ぶ宝石としてオパールを描きました。
(「Anne of Geierstein」)
このことから、オパールは持ち主の運命を狂わせてしまうという風潮が産まれたようです。
しかしビクトリア女王がオーストラリアの鉱脈で発見されたオパールでブローチを作り愛用したり、王室の婚礼の贈り物としてオパールを選んだことから、そのような考え方や風潮は弱まりました。
■誕生石「オパール」のお手入れ & クリーニング
硬度を示すモース硬度で5〜6.5のオパール。
オパールは一般的にオイル、ワックス、プラスチックなどの含侵によってエンハンスメント(石が本来持っている性質を引き出すために行う処理のこと。)されています。
ダブレット、トリプレット(オパールのように薄い板状のものとして産出する石はオパール同士を張り合わせて遊色効果を高めるような加工がされます。二枚の張り合わせならダブレットといいます。トリプレットはダブレットに更にガラスや薄い水晶などを張り合わせます。)は水に長時間さらすと接着性が弱まる可能性もあります。
ダブレットやトリプレットでなければ、一番安全なお手入れ方法としてはぬるま湯と石鹸水での洗浄です。
また高温や温度の変化は、天然オパールでも割れることがありますのでご注意を。
保管方法としては基本的には他のものと分けて保管してください。
これは他のジュエリー、アクセサリーと当たったり、こすれたりするとオパールに傷が付いてしまうため。
そして熱や乾燥に弱いので直射日光が当たる場所や、極端に乾燥するような場所での保管は避けてください。
(宝飾店などでは保湿のためにガラスケース内に水を入れたグラスなどを置くところもあります。オパールは基本的には原石のカット前に天日干しをして、乾燥に耐えたものをカット、研磨して宝飾品に加工されます。こういったオパールであれば、よほどのことが無い限り問題はありません。)
◇オパールをもっと詳しく知りたい方はこちらをどうぞ→
【 10月誕生石 トルマリン (電気石) 】

多彩な色をもつ宝石、トルマリン。
その色彩の数は100種類以上!
中でも幻の宝石と呼ばれるパライバトルマリンは、ダイヤモンド以上の高値で取引されることもありますし、ウォーターメロンと言われるトルマリンはまさにスイカのようにグリーンとピンクのバイカラー。
本当に色彩豊かなトルマリンですが、ある条件下では電気を帯びるという特性があるため和名では電気石と呼ばれます。電気を帯びるのは地球上の鉱物の中でもトルマリンだけなんだとか。
それではトルマリンについて詳しく見ていきましょう。
■モース硬度
7 ~ 7.5
■color
実に色が豊富なトルマリン。
代表的なものとしては透明、白、黒、ピンク、青、緑、黄色、オレンジなどなど。
宝石としてのトルマリンは多彩な色のために、すべてが別の石であると考えられていたようで、それぞれ色別に名前もついています。
しかし色別の名前で呼ぶよりも、色名 + トルマリン(ピンク色ならピンクトルマリンというように)と呼ぶ方がポピュラーです。
2色が混在している場合はバイカラートルマリン、3色ならパーティカラー(トリカラー)トルマリンなどと言います。
この多彩な色は内部のイオンの種類によって変化します。
まるでサファイヤとルビーの関係みたいですね。
トルマリンの場合は鉄分だと黒から青、濃茶、マグネシウムが多いと茶色から黄色、リチウムだと青、赤、オレンジなどほぼすべて、といったようにそれぞれが発色に関わっています。
■産地
ブラジルが有名ですがケニアやマダガスカル、アフガニスタンやパキスタンも産地です。
また稀少な無色のトルマリンはアメリカで、赤や青、紫の高品質なものはロシアなどで産出します。
■歴史
・1500年代
スペインの征服者がブラジルでトルマリンを発見したものの、緑色であったためエメラルドであると勘違いしたと言われています。
・1500年代
オランダの商人たちによって西洋に持ち込まれたと言われています。
・1800年代
恐らく何世紀にも渡って宝石として使われてきたであろうトルマリン。
悲しいことに、現代鉱物学の発展前まではトルマリンという鉱物が認識されていませんでした。
そのため青ならサファイア赤ならルビー、緑ならエメラルドとして扱われてきたのです。
ですが1800年代に異なる鉱物種であるとして科学者に定義され、この間違いが正されたと言います。
・1912年
もとはアメリカにルーツがあったトルマリン。
しかし中国最後の女帝 西太后が赤いトルマリンの色を好んだ為、中国への輸出が多くなり、最大の市場は中国となりました。
その輸出量は非常に多く中国貿易に依存していたため、中国政府崩壊とともにアメリカのトルマリン取引も崩壊しました。
西太后の購入したトルマリンはサンディエゴで産出したもので、その量なんと1トンにもなるとか。
■由来や言い伝え
・トルマリンの語源はシンハラ語(セイロン島の現地語)の「turmalli(トルマリ)」(混合した色の石の意)と言われています。
これはもともとイエロージルコンの呼び名だったようですが、トルマリンのみに使用されるようになったそう。
・トルマリンは和名では「電気石」結晶を熱すると電気を帯びることからそのように名づけられました。
・電気の性質を発見したのはアムステルダムの宝石商だったと言われています。
日向に置いてあったトルマリンがほこりを引き付けるのをみて性質に気づき、たばこの灰を集めるのに利用したとか。
・様々な民族で神聖な儀式や病気の治療に用いられたようです。
・結婚1周年はピンクトルマリン、8周年はパライバトルマリンが結婚を祝う石とされています。
・「シーザーのルビー」と言うペンダント。
ルビーと言われていますが実際は赤いトルマリン。
過去にはこのように他の宝石と間違えられることが多くありました。
■トルマリンのお手入れ & クリーニング
モース硬度7~7.5ですので、日常生活でも心配はいりません。
薬品や光には耐性がありますが、強い熱では損傷する可能性があります。
超音波洗浄機、スチームクリーナーは避けてください。
ぬるま湯程度の石鹸水で洗浄したあと、しっかりと洗い流すお手入れ方法がおススメです。
◇トルマリンについてもっと詳しく知りたい方はこちら→
【 まとめ 】

10月 誕生石 、オパール と トルマリン についてご紹介しました。
オパールもトルマリンもいろんな選択肢がありますね。
どちらも宝石としてとても魅力的。
ですが、どちらも鉱物の面から見てもとても面白い石でもあります。
個人的にはオパールの標本として面白いのはやはりボルダーオパールやカンテラオパール。
母岩とオパールの様子は2つと同じものがなく、とても興味深いです。
またトルマリンの鉱物標本も形、色が様々で見ていて飽きません。
10月生まれの方はアクセサリーとして身に着けるのもいいですが、そういった標本で探してみるのも面白いと思いますよ!
是非自分だけの「ひとつ」を手に取ってみてくださいね。