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今はアレルギーじゃない方も関係ないと思わずに、是非読んでみてくださいね
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金属アレルギー のことに関して、ここではご紹介していきます。

【はじめに】

金属アレルギー について考える女性の画像

皆さんはピアスや指輪を着けていて、皮膚が赤くなったりかゆくなったりした経験はありますか?

私はあります。

ある特定の金属だけですが、身に着けると必ず痒くなるし、酷いときは水膨れのようになってしまいます。

初めてそうなったときはお気に入りのピアスをつけたときでした。

これでももともと彫金・研磨の専門学校に通っていた身…

扱う金属に関して授業で学んでいましたし知識もそれなりにありました。

もちろん金属のアレルギーに関して講義もありました。

しかし好きで学んでいるアクセサリーやジュエリーの素材に対して、
自分自身アレルギー反応が起きるなんて思ってもみなかったので、
これから先アクセサリーを身に着けることができないのだろうか、
金属の加工も無理なのだろうかと少々不安になったことも思い出します。

ハンドメイドでアクセサリーを制作する現在、商品ページには可能な範囲で素材を明記しています。

それは自分自身がアクセサリーを選ぶ際に知りたいと考えている情報だからです。

明記されていれば自身のアレルギーがわかっている人であれば、購入を決める前に体に合うか合わないか判断ができます。

今現在アレルギーではない方も、実はいつ、どんなタイミングで発症するかわかりません。

ですので、ハンドメイドやいわゆるプチプラと言われるアクセサリーがたくさん登場している今、自身が扱うパーツの素材やアレルギーなどに関してもしっかり伝えていく必要があると思いこれを書いています。

ハンドメイド作家の方の中には作品にアレルギー対応と記載される方もいらっしゃいます。

使っているパーツにそう記載されているから仕方ないとも思いますが…

しかし実際、その素材にも落とし穴があるんです。

そのことに関しても詳しく説明していますので、今はアレルギーじゃない方も関係ないと思わずに、是非最後まで読んでみてくださいね。

◇金属アレルギー対応表記の嘘とホントについてはこちら→

【そもそも金属アレルギーとは】

アレルギー を連想させるイメージ画像

そもそも金属アレルギーとは金属自体が直接肌に悪影響を及ぼしているのではないということをまず知っておいてください。

少々化学的な話になってしまいますが金属が汗や傷などから出る体液、手洗いやシャワーなどの水分と触れることで微量の成分が溶け出すと、金属のイオン化という現象が起こります。

このイオン化した金属と人の皮膚などのタンパク質とが結合することこそが、
アレルギー発生の引き金となるのです!

人間の体に元々備わっている自己免疫作用。

白血球が異物やウィルスを攻撃することで、脅威から身を守るシステムです。

とても優秀なシステムですが、先ほどの金属イオン + タンパク質は本来体に存在しないため、体が異物であると判断し白血球の攻撃が始まります。

この攻撃こそが、金属アレルギーの原因なのです。

また一度でも白血球に敵とみなされた物質は、基本的には一生そのまま敵であると認識されます。

そのため治ることは基本的にはないと言われています。

【金属アレルギーになるとどうなるの?】

アレルギーが起こるしくみについて連想させる画像

ではアレルギーが起こってしまうとどうなるのでしょうか?

まずアレルギーの種類は2つ。

■接触皮膚炎…金属に直接触れた箇所に起こる症状で、アクセサリーを身に着けていることで起こりやすいです。

■全身性皮膚炎…イオン化した金属が体内に入り血液を通して全身に巡り、金属に触れた箇所以外で症状を引き起こします。

接触性皮膚炎は金属に接触した時~数日後に接触箇所に蕁麻疹や湿疹、腫れやかゆみが起こります。

私自身はピアスホールがただれたようになり、傷が治る際に傷口に現れる黄色味がかった液体がピアスホールを覆うように発生していました。

酷い症状の方だと、倦怠感や発熱といった症状もあるようです。

全身性皮膚炎の場合は内服薬や食品に含まれるごくごく僅かな量の金属が体内に吸収されることによって引き起こされます。

体内に取り込まれた金属は一旦は臓器に吸収され、汗などをかいた際などに炎症やかゆみとなって再び現れるということもあるようです。

この場合原因が大変見極め辛い為、病院でも原因がなかなか特定に至らず、誤診されやすいといいます。

【金属アレルギー がでやすいアイテム】

歯科治療でアレルギーが起こったことがある事例を連想させる画像

最近とある女性の記事を読みました。

10数年間原因のわからない体調不良を訴えていたその女性…

様々な部位に発疹がでたり、微熱がでたり、はたまた頭痛や体の怠さと、
症状が多岐にわたり原因がなかなか掴めなかったといいます。

ですがこの女性を苦しめた様々な体調不良の原因は、なんと金属アレルギーだったというのです。

これは先述の全身性皮膚炎の症状で金属が唾液で溶けて体内に取り込まれた一例です。

歯科治療済みの歯の金属の詰め物が原因というのですから、お医者様もなかなか原因特定に至らなかったというわけです。

気になって少し調べてみたところ、金属アレルギーの報告として多いのはやはりダントツでピアス。

金属アレルギーになる方の原因の約8割を占めているといわれます。

ピアスホールが完全に完成する前にファーストピアス以外を着けてしまうというのも、もちろんアレルギーを起こしてしまう要因の一つです。

またピアスに続くアイテムとしてはネックレスや指輪、腕時計、ベルト(バックル部分)といったところでしょうか。

またどのアイテムも汗の増える時期や、体質として汗っかきの方も注意が必要です。

【金属アレルギーになりやすい素材とは】

金属アレルギー の原因となる金属の画像

一般的にアレルギーを起こしやすいと言われている代表的な金属としては

  • ニッケル ( Ni )
  • コバルト( Co )
  • 水銀( Hg )
  • クロム( Cr )
  • スズ( Sn )
  • 銅( Cu )

が挙げられます。

名前だけは皆さん聞いたことがある金属だと思いますが、
何に使われているかはあまりピンとこないのではないでしょうか。

例えば50円硬貨や100円硬貨はニッケルと銅の合金ですし、十円硬貨はスズと銅の合金です。

コバルトはシリカゲルに混ぜられていたりデジタル機器には欠かせないリチウムイオン電池に用いられます。

水銀は現在では使用がかなり制限されている毒性の強い金属ですが、
以前はアマルガムと呼ばれる歯の治療に用いられる合金をつくるのに使用されていました。

また年齢がばれてしまいますが、以前は体温計などでもお馴染みでしたよね。

スズは以前は鉛との合金ではんだに多用され、錆に強く加工がしやすいことから食器や日用品にも使用されてきました。

化学的には定かではないようですが、スズ製品は水の雑味を取り除くので晩酌の際にはお酒をまろやかにすると言われているとか…

そのため現代でも工芸品の食器材料として一定の需要があるようです。

そして最後に銅。
先ほど記載した硬貨に使用されるだけでなく、電線や配管、産業機械と幅広く生活に使われています。

どうですか?硬貨はもちろんですが、何かしら使ったこと、見たことがありませんか?

名前に馴染みが無くても実は生活に溶け込んでいるんです。

そして中でもニッケルと銅はアクセサリーとしてもかなり流通しています。

ニッケルをつかったアクセサリーは表面にメッキがかかった状態で市場に出回ります。

こういった場合湿式メッキという方法がとられますが、湿式メッキは使用していくうちに剥がれやすいという弱点があります。

地金であるニッケルが出てきてしまった際に肌に触れてしまうので取り扱いには注意が必要です。

ハンドメイド作家さんの中にはアレルギー対応といったパーツを選ぶ方もいると思います。

この部分が先程言った、落とし穴、でもあるのです。

パーツによっては使用していくうちにアレルゲンとなる地金が出てくる可能性もありますし、ニッケルを使っていないパーツでもニッケル以外の金属でアレルギーの反応がでる可能性もある、ということをきちんと理解するとともに、自身の使う素材を知る必要があると思います。

また銅はアクセサリーパーツとして出回ることも多いですが、
何よりも割り金として姿は見えないものの、材料に混ぜられていることのある素材です。

割り金とは硬さや加工性を調整し、色調を作るために添加する金属のことを言います。

たとえば銀なら銀でそれだけで加工ができればいいのですが、柔らかすぎるので加工がし辛いという難点があります。

柔らかすぎると形状を保持することができないので、十分な硬度とする為に主に銅やパラジウムを割り金として混ぜています。

(地金や品位の区分によって割り金の種類、割合は変化します。)

この場合、見ただけではなかなか判断がつかないのでうっかり身に着けてしまう可能性もありやはり注意が必要になります。

【金属アレルギーが起こりづらい金属は?】

アレルギーを起こす可能性のある金属のイメージ画像

ここまで金属アレルギーについて延々と書いてきましたが、では、アレルギーが起こりづらい金属はあるのでしょうか?

答えは「イエス」、あるんです。

一般的にアレルギーが起こりにくいとされる金属は

  • 金( Au )
  • 銀( Ag )
  • 白金( Pt )
  • チタン( Ti )
  • ステンレス( 鉄を主成分とし、クロム、ニッケルを含む合金 )

などが挙げられます。

基本的にはアクセサリーというよりジュエリーに使用されることの多い金属も入っています。

(アクセサリーとジュエリーの違いに関しては後日詳しく記事にする予定ですが、ざっくり説明すると稀少価値の高い素材を使用したものをジュエリー、使用素材に制限のないものをアクセサリーと呼び分けます。)


このあたりの金属も先ほどご紹介しましたように、割り金(他の金属とあわせ合金にすること)をしている場合があります。

また一般的なアクセサリー、ジュエリーは金属自体の強度や加工のしやすさから割り金をすることは、とてもポピュラーです。

そのため純金、純銀、純白金であればアレルギーが起こりづらいのですが、金属アレルギーを持ってらっしゃる方は割り金にはご注意ください。

【 金属アレルギー でも楽しめるアクセサリーは? 】

金属アレルギー のおこりづらい金属のイメージ画像

ここまで読んでいただいて、金属アレルギーになると全くアクセサリーが楽しめないのでは…
と思ってしまった方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、金属アレルギーでも楽しめるアクセサリーもちゃんとあります!

◇最近ではこんなアイテムも!


まず金属アレルギーだとわかっている方は、

  • 肌に優しい素材を選ぶ(サージカルステンレスのものなど)
  • 汗をかくような場面(スポーツ、お風呂)でアクセサリーを身に着けない
  • 自身のアレルギーを知っておく(パッチテストなどで検査してみる)

この三点が大事です。

パッチテストを受けたことがない方でも、
金属アレルギーを起こした際に身に着けていたアクセサリーなどの金属は絶対に避けた方が良いですし、
今までアレルギー症状が出たことが無かったとしても汗をかくような場面はリスクが高いと考えてください。

サージカルステンレスは医療用に使用されることのある金属で錆びにくく、アレルギーが起こらないと言われています。

また金や銀などの素材に比べると安価であるため、最近ではサージカルステンレスのアクセサリーも増えています。

またニッケルフリーはアレルギーを起こしやすいニッケルをほぼ含まずにメッキしている、もしくはニッケルを含まない金属を使用しているということです。

これはニッケルのアレルギーの方には朗報ですが、他の金属は使用していますので他の金属アレルギーであれば少々注意が必要です。

そして比較的アレルギーが起こりづらいとして現在目にすることが増えてきた「 K14GF 」。

14金を金属の表面に熱圧着しコーティングする方法で従来のメッキより剥がれづらく、変色しづらいとして日本でも一般的になってきました。

こちらもニッケルは含まれない為その点から比較的アレルギーが起こりづらいと言われています。

K14GFに関してはこちらの記事をどうぞ→ 

ご自身のアレルギーを正しく理解すれば、アレルギーでもアクセサリーを身に着けることは可能です。

どうせアレルギーがあるから…なんて思わず、自身にあったアクセサリーを探してみてくださいね。

【まとめ】

救急車のイメージ画像

今回は金属アレルギーについて説明してきました。

現在 金属アレルギー がある方はちょっとくらいなら大丈夫と思わずに、絶対にアレルギーの原因となる金属は避けてください。

現在金属アレルギーではない方もアレルギーの発症はその日その日の体調や、免疫力なども影響します。

今まで問題なかったから大丈夫と思わずに、アクセサリーを着けている部位などに少しでも異変を感じたらすぐに外し、 状況によっては皮膚科医の診断を受けるようにしてください。

◇全国の金属アレルギーパッチテストが可能な病院はこちらから→

自身のアレルギーを正しく理解すれば、自身にあったアクセサリーを探す楽しみも増えますね!

是非あなたを彩る、お気に入りのアクセサリーを探してみてくださいね。