ジュエリー は高い基準をクリアした装飾品、 アクセサリー はそれ以外の装飾品の事を指します。
これは日本ジュエリー協会(JJA)をはじめ、海外の機関でもガイドラインを明確に提示し線引きがされています。
なぜそのようなガイドラインが設けられているのかは、購入者が不利益を被らない為でもあるんです。
自分自身だけで楽しむのであれば明確に区別する必要はありませんが、販売を目的としている場合はきちんと表記することが大切です。
ぜひ知識のひとつとして、頭の片隅に置いておいてくださいね。
【 はじめに 】

ジュエリー と アクセサリー の 違い 。
ざっくりと説明してしまうと高い基準をクリアしたものがジュエリーと呼ばれる装飾品、アクセサリーはそのほかの装飾品を指します。
昨今はハンドメイドが一般的となり、個人で制作、販売できるマーケットが出来上がっています。
中にはジュエリーデザイナー、ジュエリー作家という肩書を使われる方もいらっしゃいますが、本来 ジュエリー と アクセサリー にはきちんとした線引きがあるのです。
確かにハンドメイドが浸透したことで、悪意なく、知らないで耳馴染みのよい言葉や表現方法として使用している、なんとなく使っている、という方がほとんどなのだと思います。
しかしそういった「なんとなく」から、 ジュエリー と アクセサリー の線引きが曖昧になってきていることは否めません。
取り締まられることはないですが、作り手・売り手が知らないで使っていると信用問題にかかわることも出てきます。
作り手・売り手になるということは、「知らなかった」とは言えない立場になるということ。
事細かに知る必要はありませんが、頭の片隅に置いておいてもらえたらと思い今回この記事を書くことにしました。
【 ジュエリー と アクセサリー 】

ジュエリーとアクセサリーの分類
・アクセサリー
リング、ネックレス、ピアス、イヤリング、髪飾りやベルトなども含む装身具の総称。
素材に厳密なくくりが無く、革や鉱石、木なども含まれます。
・ジュエリー
素材が貴金属、宝石であり稀少価値の高いものを使用した装身具。
高級で希少なものを区別するためにこのように呼び分けられています。
・ファインジュエリー、ハイジュエリー
こちらも通常のジュエリー同様に素材が貴金属、宝石であり稀少価値の高いものを使用した装身具。
ジュエリーと変わりませんが、特に大振りなものなど特別感をだしたいときに使用されたりします。
・イミテーションジュエリー、コスチュームジュエリー、ファッションジュエリー
ジュエリーと名がつくものの、ジュエリーの代用品としてのアクセサリーに使用されます。
名前通りジュエリーのイミテーションであったり、舞台の小道具であったりします。
◇コスチュームジュエリーの代表的なブランドのご紹介はこちら→
呼び名に「ジュエリー」と入っていても、ジュエリーにカテゴライズされないアイテムも中には存在するんです。
なんとも紛らわしいですよね。
ざっくりと分けてしまえば、稀少価値のある素材に稀少価値のある石を使用しているものはジュエリー、それ以外はアクセサリーの分類です。
さきほどご紹介したものであればジュエリー、ファインジュエリー、ハイジュエリー、はジュエリーの分類。
アクセサリー、イミテーションジュエリー、コスチュームジュエリー、ファッションジュエリーは、アクセサリーの分類です。
極端な話をすると、18金にジュエリーカテゴリーの石を石留めしたものであればジュエリーですが、同じ18金にをカテゴリー外の石を石留めしたものはアクセサリーの分類となる場合もあるのです。
【 ジュエリーの基準 】

じゃあその分類って誰が決めたの?って思いますよね。
日本ジュエリー協会(JJA)をはじめ、海外でもいくつかの機関がガイドラインを提示しているんです。
日本ジュエリー協会では素材に貴金属を使い、天然宝石を用いた装飾品のことをジュエリーであると定義しています。
そのジュエリー協会が定義する貴金属と宝石はこういった感じです。
◇貴金属
貴金属とは一般に、金(Au)、銀(Ag)と、プラチナの仲間である白金族の6種類、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)の合計8種類を貴金属と称しています。希少であり、加工性がよく、化学的に安定していることなどが貴金属といわれる所以です。貴金属のうち、金、銀、プラチナは、主材料としてジュエリーに用います。パラジウム、イリジウム、ルテニウムは割り金(わりがね)としてジュエリーの素材に用います。オスミウムは、現在ではジュエリーにもめっきにも用いません。
一般社団法人日本ジュエリー協会ホームページより引用
以前に他の記事でも触れましたが、金属はそのものだけだと柔らかすぎて加工しにくかったり、破損しやすかったりします。
そのため貴金属を安定させたり、色を整えるために、割り金と呼ばれる他の金属と合わせて合金にします。
日本ジュエリー協会ではその際の割り金の割合にもルールを設けています。(貴金属と割り金の割合にルールを定めないと、消費者の不利になることが考えられうる為。消費者が知らないことで損害や不利益を被らないため、消費者を守るためにも、こういったガイドラインが設けられています。)
◇ジュエリーの貴金属の含有率についてはこちらをご覧ください。
◇宝石

JJA(社団法人 日本ジュエリー協会)及びAGL(宝石鑑別団体協議会)が「宝石もしくは装飾用に供される物質の定義および命名法に関する規定」というものを設けています。
その規定によると、宝石は天然石と人工生産物(合成石・人造石・模造石)に分けられ、天然石のみを宝石と定めています。
その内訳は、天然宝石(カットと研磨が施されたもの)と、処理宝石(エンハンスメントが施されたもの)。
(※エンハンスメントとは、その宝石が本来持っている美しさを引き出すために施す最小限の加工処理のこと。代表的なものとしてはルビーやサファイアの美しい色を引き出すための加熱処理やエメラルドの含浸処理。傷のないエメラルドはないといわれるように、エメラルドは一般的に内包物を含みます。内包物があるとクラック(傷)がどうしてもできるため、この含浸処理が慣習的に行われてきました。)
◇エメラルドについてはこちらをどうぞ→
天然石は貴石と半貴石に分けられますが、貴石はモース硬度(石の硬さを10段階で示した指標であり、ダイヤモンドが10で一番硬いとされる)が7以上の比較的高価な石です。
代表的な物はダイヤモンドやエメラルド、サファイヤ、ルビーです。
また硬度が7以下であっても美しさと稀少価値が高ければ宝石に分類されることもあります。
中にはアメシストやラピスラズリのように稀少性が劣る石であっても、際立って美しいものであればジュエリー品質として使われることもあります。
【 製造方法の違い? 】

さらに製造方法も大切なポイントです。
特に大切なのは石留め。
ジュエリーの宝石はとても高価です。
そのためその石が外れるなんてことがあったら一大事!ですよね。
しかも知らないうちに外れてどこに落としたかわからない…なんて想像もしたくありません。
ですのでそういったことが無いように、劣化し石が外れる心配のある接着剤は使われることが無く、爪で留める爪留めといった方法がとられます。
また石の魅力を最大限に引き立たせるため、石座の裏や横に光を通すために「明り取り」と呼ばれる隙間を作ることも特徴の一つです。
また他の記事でもご紹介をしたことがありますが、ジュエリーやアクセサリーの製造方法は職人がひとつひとつ制作していく方法から、キャストやプレスといった加工法で量産していく方法まで実にさまざまです。
当たり前のことですが、職人がひとつひとつ制作するという方法は、技術や経験を積んだ職人でなければできません。
そのため工賃が上がり、一点ものなどの高価なジュエリーでなければコストが合わなくなってしまうのです。
現代の市販のジュエリー、アクセサリーはロストワックスキャスティング法、通称キャストという方法が主です。
原型からゴム型を作り、ゴム型からワックスを制作するこの方法。
出来上がったワックスから鋳造を行い、磨きなどをして仕上げをしていきます。
また更に安価であったり、量販されるアクセサリーにはプレス加工法が用いられることも。
これは雄・雌の金型の間に地金(主に真鍮など)を敷いて機械で地金に圧力をかけ、製造をする方法。
これはコスト重視で大量生産を目的としています。
【 刻印の種類 】

ジュエリー品質のものは刻印が確認できます。
主な規格は国際規格ISOによって定められているもの。
このISO規格では品位を1000分率で定めていて、原則5年ごとに国際的に見直されます。
◇貴金属製品の品位区分と証明記号についてはコチラをどうぞ→
刻印は基本的に主金属の元素記号に、数字が表記されます。
この数字は含有の1000分率である1000を100%として表示されます。
ゴールドの場合は24分率を100%としています。
気を付ける点としては、主な金属を1000分率で測っているという点。
例えばPT(プラチナ)100という記載があったとして、これをプラチナそのもの、100%プラチナであると誤解しやすいということ。
1000分率は1000を100%とする見方のため、PT(プラチナ)100という表記があった場合は、10%のプラチナが含まれているというのが正解です。
純白金、純プラチナ | PT1000(999) |
プラチナの含有率95.0%以上 | PT950 |
プラチナの含有率90.0%以上 | PT900 |
プラチナの含有率85.0%以上 | PT850 |
プラチナの含有率85.0%以下 | Pm、Pt |
プラチナメッキ | PTP、PP |
純金・24金 | K24 | |
20金 | K20 | 833(金含有率83.3%以上のもの。) |
18金 | K18 | 750(金含有率75.0%以上のもの。) |
14金 | K14 | 585(金含有率58.5%以上のもの。) |
18金ホワイトゴールド | K18WG | WG(主に銀やニッケル、銅などを含む。) |
18金イエローゴールド | K18YG | YG(主に銀や銅を含む。) |
18金ピンクゴールド | K18PG | PG(主に銅が多い割合を占める。) |

純銀 | SV999(999) |
銀の含有率95.0% | SV950(950) |
銀の含有率92.5%以上 | SV925 |
銀の含有率90.0%以上 | SV900(コインシルバー) |
銀の含有率83.5%以上 | SV835(ダッチシルバー) |
めっき製品 | P(plated めっきをしたという意味) |
金めっきならGP、プラチナめっきならPP | |
張り製品 | FまたはR(filled またはrolled 被せる、圧延仕上げといった意味) |
金張りならGF、ホワイトゴールド張りならWGF |
【 まとめ 】

今回は ジュエリー と アクセサリー の 違いについてご紹介しました。
ジュエリーとアクセサリーは大きな意味では似ていますが、使用する素材が違うというのが何よりも大きなポイントです。
この素材の違いはジュエリーとアクセサリーの「永遠性」を左右します。
アクセサリーが永遠ではないとは言いませんが、装飾品として使われてきた最古の金属である「金」や変色・変質しない「プラチナ」、そして長い時を経て生成された「天然石」。
これらの素材は壊れにくく、もし壊れたとしても修理やリカットをされ新しく生まれ変わります。
そのようなジュエリーは流行や身に着ける人の生活スタイルによって姿を変えることがあったとしても、時代を超えて後世に受け継がれていきます。
自分自身だけで楽しむのであれば、価値の基準も自分自身。
ですから、このようにジュエリーとアクセサリーを区別する必要はありません。
しかし自分以外の人に販売したり、制作したりするとなるとそう簡単ではないものです。
人の感覚は千差万別。
ジュエリーとアクセサリーの言葉の表現ひとつで、勘違いやトラブルが起こることもあり得ます。
そういったトラブルを避けるためにも、きちんと知っておくと損はないかと思います。
今まで何気なく「ジュエリー」「アクセサリー」という言葉を使ってきた方も、ぜひ知識として頭の片隅に置いておいてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました!