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合金やめっきが何か知っていますか?

アクセサリー 表記で 合金 や メタル といった表記がされている場合は主に、真鍮よりもランクの低い合金で作られているか、もしくは販売者が詳細を把握できていないということ。
また めっき と一言でいってもその種類は様々。
今回はこの「 合金 」と「 めっき 」についてご紹介していきます。

【 はじめに 】

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アクセサリーの表記にある合金やめっきって?

アクセサリーとジュエリーの一番の違いは「素材」
よくアクセサリーは偽物、ジュエリーは本物、といった表記の仕方も目にすることがありますが、使っている素材が卑金属か貴金属が、はたまた貴石でないか貴石かといった違いなのです。

◇アクセサリーとジュエリーの違いについてはこちらをどうぞ→

昨今このジュエリーとアクセサリーの言葉の線引きが曖昧になってきています。

どちらにも様々な品質が出てきていて、日本や海外のガイドラインに沿っているかどうかだけでは判断が難しくなってきています。

アクセサリーを購入する際にどんな素材が使われていて、どんな国で作られていて…そういったことが気になったことはありませんか?
洋服などの衣類には素材や生産国がきちんと表示されていますが、アクセサリーは必ずしもそうではありませんよね。
表記があったとしても「 合金 」や「 めっき 」という表示だけだったり…。

今回はそんな アクセサリー 表記で見かける「 合金 」や「 めっき 」にスポットをあててご紹介していきます。

【 合金 】

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合金の組み合わせは様々…

では合金とはいったい何でしょうか?

純金属に1種類以上の他元素を混ぜた金属材料を「合金」と呼びます

公益社団法人 日本金属学会

簡単に言ってしまえば2種類以上の金属を合わせて作った物質のこと全般を指します。
例えばcorbata pajaritaの主に扱う素材である真鍮もそのひとつ。
真鍮は銅と亜鉛の合金です。

素材の表記に合金と記載がある場合は、少なくとも2種類の金属が使われているということになります。

◇真鍮がどんな素材が気になった方はコチラをどうぞ→

【 めっき 】

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錆を防止したり見た目を改善させる目的があります。

めっきとは表面処理の方法のひとつ。
金属、非金属の材料の表面を金属の薄い膜で覆うことを指します。

膜になる金属の種類は用途や予算等によって変わってきます。

基本的にめっきは錆びを防止するため、見た目を改善するため、機能や性能をよくするために使用されます。

◇めっきについてわかりやすい解説はコチラをどうぞ→

【 合金 と めっき 】

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素材もバラエティ豊かで、値段も幅広くなったアクセサリー。

合金(メタル)、めっきといった表記も昨今よく目にします。
これは比較的安価なアクセサリーの材料表記で目にすることが多いです。

こういった場合、多くの場合は銅合金などの真鍮にめっきがかけられているもの。

ファストファッションとしての低品質アクセサリーか、貴金属で作るには高額になりすぎると言った理由などから、コストを抑えるために作られたアクセサリーの2種類に分けられます。
これらの違いは、土台となる金属素材製造技術メッキの厚さ種類技術です。

価格帯としても数百円~数万円と幅があり、品質を比べても大きな差が見られます。

・土台の金属素材

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アクセサリーに適している素材とそうでないものがあります。

銅合金である真鍮であればアクセサリーに適した強度や光沢をもっています。
しかし値段を下げるためにそれよりも質の悪い合金を使用している可能性があります。
そういった場合は劣化や破損が起こりやすく耐久性に劣ります。

・土台の金属の製造技術

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製造方法だって、1つじゃないんです。

製造方法も職人がひとつひとつ制作していく制作方法から、キャストやプレスといった加工法で量産していく方法までさまざまです。

職人がひとつひとつ制作していく方法は技術や経験を積んだ職人でないとできなかったり、工賃が高くなるため一点ものの高価なジュエリーでないとコストが合いません。

しかし現代の市販のジュエリー、アクセサリーはキャスト(ロストワックスキャスティング法)という方法が主です。
原型からゴム型を作り、ゴム型からワックスを制作。
出来上がったワックスを電気炉にかけて鋳造を行い、磨きなどをして仕上げていきます。

またプレス加工法というのは量販ジュエリー、量販アクセサリーに多い機械製造法。
これは雄、雌の金型の間に地金を敷いて、機械で地金に圧力をかけて製造する方法。
基本的にはコスト重視で大量生産するものに使われます。

・メッキの厚さ

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厚ければ厚いほどいい、という訳でもありません。

アクセサリーに使われるメッキというのは、基本的には電気メッキといわれるもの。

メッキ用の金属を溶かした液体にアクセサリーの土台を浸し、そこに電気を流すことで土台の表面を金属でコーティングする方法です。
これはメッキ仕上げとかメッキ加工、コーティングやフィニッシュと呼ばれることもあります。

メッキの種類によって製膜できる厚さも変わってきますし、電気の強さや浸す時間も関係してきます。

クロムメッキなら0.1~0.2㎜、ニッケルメッキや銅メッキなら1㎜以上の厚さ(アクセサリーではここまで厚くすることはまずありませんが…)も可能です。

電気の強さによってメッキも厚くすることができるのですが、厚くしたことによって目的に反する可能性もでてくるため、厚い=良い、とは一概には言えません。

◇メッキの種類はこちらをどうぞ→

めっきの厚さはμ(ミクロン)と表記します。
ミクロンは1㎜の1000分の1を指します。
家庭用のラップがおよそ11μだそう。

これは日本ジュエリー協会の定めるめっき層の表現。

めっき層表 現  金めっき目安ロジウムめっき目安
薄い 色上げ フラッシュ 0.1μm以下 0.05μm以下
中間  通 常 中間 中間
厚い厚めっき ミクロンめっき 1μm以上 0.4μm以上
これは日本ジュエリー協会の定めるめっき層の表現

またゴールドフラッシュドやゴールドプレートといっためっきを耳にすることがもしかしたらあるかもしれません。


これはアメリカの規格。
アメリカではフラッシュド(gold flashed)0.175μ以下、エレクトロプレート(gold electroplate)が0.175μ以上、  ゴールドプレート(gold plate)が0.5μ以上、heavy gold plateが2.5μ以上と定められています。
基本的にはフラッシュドはアクセサリーに向かないとされ、エレクトロプレート以下は通常めっきとは区別されます。   

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めっきの規格というものが存在しますが…。

しかしこのめっきの規格というのは、ジュエリー品質に求められるもの。
低品質のアクセサリーには当てはまらないというのです。

低品質アクセサリーはとても薄い、0.1μ以下のフラッシュめっきが施されるのが一般的。
これは低品質アクセサリーがファストファッションとして認識されているため。
そもそも長期間の使用が想定されていないのです。
だからこそ色付け程度のめっきが施されていたり、最終工程でクリアの塗装をかけ薄い被膜で保護をする、なんていう場合もあるんです。

・メッキの種類

めっきは表面のめっきだけではありません。

目に見える表面のめっき以外に、下地のめっきもあります。
この下地のめっきをすることで土台となる金属の耐食性、強度を高めます。
表面のめっきをはがれにくくしたり、綺麗な光沢をだすためにも必要です。

そしてこの下地のめっきによく使用されるのがニッケル。

表面に別のめっきを施した場合でもそのめっきが薄いと、下地のニッケルがにじみ出てきて金属アレルギーの原因になってしまう、なんてこともあり得ます。
以前は金やロジウムがめっきの主流でしたが、昨今金やロジウムの価格も高騰しているので、安価なアクセサリーではどんなめっきが施されているか一概にはいえません。
金やロジウムでないような場合は変色したりはがれやすかったりといった可能性があります。

・メッキの技術

めっきの工程は実にさまざま。

一言でめっきと言えど、素材や仕上がりに合わせてめっき液を選び、めっきをかけるための下処理(綺麗にメッキをかけるために脱脂や洗浄をします)などをします。
こういった工程ひとつひとつが、めっきの品質に関わります。

【 めっきの仲間? 】

・ゴールドフィルド

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見かけることが増えたゴールドフィルド。

昨今よく見かけるK14GF。

GFというのはgold(ゴールド)のGとFilled(めっきする、塗りつぶすという動詞の過去形)のFからとられた名称。


14KGFやK14GFといった表記の場合もあります。
これは土台となる金属に14金を圧着した素材のこと。
こういった際の土台は主に真鍮が使用されます。

通常のめっきとの違いは、この「圧着」という方法。
めっきのように土台の金属の表面に金などをコーティングするのとは違い、熱や圧力をつかって14金を張り付けています。
その厚さ通常の電気めっきの20~30倍にもなるとか。

◇ゴールドフィルドについて詳しく知りたい方はコチラをどうぞ→

金を圧着したものはゴールドフィルド(GF)と言いますが、シルバーを圧着したものはシルバーフィルド(SF)と呼びます。

・シルバーとめっき

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silverアクセサリーもめっきをかけることがあります。

シルバーはめっきをかけないことも多い素材です。
しかし硫化による変色(表面が黒っぽくなる変化)が起こりやすい素材なので、めっきをかけることもあります。
土台がシルバーなので、めっきが剥げても比較的アレルギーは起こりにくい素材です。

しかしめっきをかける際の下地のめっきにニッケルなどが使用される可能性もありますので、アレルギーのある方は要注意です。

・ヴェルメイユ

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ヴェルメイユはアンティークジュエリーなどにも使われています。

土台のシルバー925に金めっきを施したものをヴェルメイユといいます。

Vermeil(ヴェルメイユ)はもともと緋色(鮮紅色・ヴァーミリオン)を指すフランス語。
ラテン語の小さな虫(VERMICULUS、ウェルミクルス)に由来するそうです。
英語ではフランス語のままか、Vermil(ヴァーミル)と呼ばれることも。

過去に水銀を使用したアマルガム法という金メッキが行われていました。
アマルガム法は金を溶かした水銀を他の金属製品に塗り、加熱することで水銀を蒸発させる方法。
水銀を空気中で加熱すると猛毒の酸化水銀が発生することを考えると、恐ろしい方法ですね…。
酸化水銀は赤味がかった色となるため、時代が古いヴェルメイユ製品は赤味がかっているという特徴があります。
そういった経緯から、銀の表面に金めっきを施す技法をヴェルメイユ・緋色のものと呼ぶようになり、アマルガム法が使われなくなった現代でも名称のみが残っています。

ヴェルメイユの品質表示の刻印は「vermeil」「vermil」と刻印され、貴金属として扱われます。

19世紀以降に制作されたヴェルメイユは金の薄板を高温高圧で銀の表面にロウ付けしたものです。

ゴールドフィルドの圧着とはまた違う方法なので、摩耗するアイテム(指輪やネックレスなど)だとめっきが取れやすいといった一面があります。
きちんと規格に沿った品質であればすぐにめっきが剥がれるということはありませんが、ひとつだけ注意点があります。
それは規格に沿った厚みのめっきではない場合。
シルバー925に金めっきをしたという意味合いでヴェルメイユと表記される場合もあるので確認が必要です。

ちなみにヴェルメイユのアメリカの規格では厚さ2.5μ以上の金めっきが条件で、その条件は国によって違ってきます。

・めっきをしない素材

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めっきをしない素材は?

貴金属とは一般に、金(Au)、銀(Ag)と、プラチナの仲間である白金族の6種類、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)の合計8種類を貴金属と称しています。希少であり、加工性がよく、化学的に安定していることなどが貴金属といわれる所以です。貴金属のうち、金、銀、プラチナは、主材料としてジュエリーに用います。パラジウム、イリジウム、ルテニウムは割り金(わりがね)としてジュエリーの素材に用います。オスミウムは、現在ではジュエリーにもめっきにも用いません。

一般社団法人日本ジュエリー協会ホームページより引用

「本物」といった表記をされることもあるプラチナ、金や銀は化学的に安定しています。

化学的に安定しているということは、耐食性があり色調がそのままで十分に美しいという特徴があります。
また金属アレルギーが起こりにくい素材でもあります。

しかしジュエリーやアクセサリーに加工する場合、その金属のみで加工することはあまりありません。

金属はそのものだけだと柔らかすぎて加工しにくかったり、破損しやすかったりします。
そのため金属を安定させたり、色を整えるために、割金と呼ばれる他の金属と合わせて合金にします。

日本ジュエリー協会ではその際の割り金の割合にもルールを設けています。
(貴金属と割り金の割合にルールを定めないと、消費者の不利になることが考えられうる為。
消費者が知らないことで損害や不利益を被らないため、消費者を守るためにも、こういったガイドラインが設けられています。)

しかしこの割金が金属アレルギーを起こすこともあるため、割金にも注意が必要なんです。

◇割金になぜ注意が必要かはコチラをどうぞ→

K18、K14、K10というのはゴールドジュエリーの金の割合を示しています。

数字が大きいほど金の割合が多く、少なくなるほど割合は少なくなります。
ゴールドは割金の種類によってイエローだったり、ピンクだったりホワイトだったり…と色を変えることができます。
ゴールドは安定した素材なのでゴールドのみなら変色の心配はありませんが、割金に使うことのある銀や銅は変色することがあります。
そのため割金の種類や割合で変色のしやすさが変わり、中にはメッキをかける場合もあります。

またプラチナの主な割金はパラジウムやルテニウム、イリジウム。
これらはあまり耳馴染みのない金属ですよね。
しかしこれらの金属は一般社団法人日本ジュエリー協会の記載する貴金属に含まれています。
そして変色しにくい素材でもあります。
ゴールドに比べてプラチナは割金も変色しにくいというメリットがあります。

【 まとめ 】

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世界中から様々なパーツが集まってくる時代、気を付けたいことは?

アクセサリー 表記で見かける 合金 と めっき って?ということでご紹介してきました。

昨今、様々なアクセサリーのパーツが世界中から集まってきています。
こういったパーツを合わせて制作したアクセサリーは素材を統一することが難しいもの。
安価なパーツだと販売時には詳細の記載がないこともしばしば…です。

安さを求めるあまり、中国や韓国のパーツが使われることも多いです。

単純に可愛い、という点で選ばれるのでしょうが、そのときに品質やアレルギーのリスクなどを視野にいれて作られることはなかなかありません。
また最近ではパーツの素材やめっきについてだけでなく、そのパーツがどういった経緯で作られたかにも注目すべきです。

ご自身で彫金をされている方の作品を勝手に型にとり、ワックスで大量生産しパーツとして販売しているお店もあります。
(主に韓国のパーツ屋さんです。BASEやCreemaにも出店しているのを見かけたことがあります…。)

そういった被害にあわれている作家さんの存在はもっと注目されるべきですし、出回ってしまっているパーツを知らずに使ってらっしゃる作家さんも大勢いらっしゃいます。
現在そのパーツでアクセサリーを作ってらっしゃる方は知らないからこそだと思いますが、無断使用されてしまった作家さんの気持ちを考えると何とも言えない気持ちになりますね。

そしてかの有名なミリアムハスケル。
ハスケルと同じ型を使って制作されたパーツは現代でも流通しています。
このパーツであれば問題はありません。

しかしこのハスケルのパーツの型を取って制作、流通しているパーツもしばしば見かけます。
ハスケルを知っている方ならわかるのでそういったパーツは避けると思いますが、知らないで使っている方は多いのです…。

なんとも複雑な気持ちになりますよね。

私は自身に金属アレルギーがあるので、アクセサリーを購入する際は必ず素材をチェックします。
きっと同じように素材を気にしながらアクセサリーを選んでいる方もいらっしゃるはず、と思い今回は合金とめっきに注目してみました。
洋服と同じように、アクセサリーももっと明確に表記ができるようになるといいですよね。

最後までお読みいただきありがとうございました!