3月 誕生石 アクアマリン(アクワマリン)と 珊瑚 と ブラッドストーン 。
どんな石か知っていますか?
【 3月 誕生石 】

3月といえば…
段々と陽気が温かくなってきて、気持ちもなんだか軽くなってきますよね。
春の訪れを少しずつ感じることができる3月は、ひな祭りであったり、虫が目覚めると言われる啓蟄があったり…
学生さんたちには卒業式というお別れの季節でもあるかもしれません。
そんな 3月 の日本の 誕生石 は アクアマリン (アクワマリン) (藍柱石・藍玉)と、 珊瑚 (サンゴ)(コーラル)。
(こちらでは日本ジュエリー協会の掲載する誕生石を参照させていただいています。)
◇12か月の誕生石について詳しくはこちら→
実は以前は3月の誕生石というと、ブラッドストーンだった事もあります。
子供だった私にはブラッドストーンの良さが全く理解できず…
自身の誕生石がこんな地味な石なのかとがっかりしたことをよく覚えています。
しかし最近では3月の誕生石と言えばアクアマリンが代表的となり、サイトによってはアクアマリンの親戚にあたるモルガナイトまで3月の誕生石に入っていたりとバリエーションに富んでいます。
時代によって段々と変化しているのを目の当たりにすると実に面白いですよね。
今回は日本ジュエリー協会の掲載する誕生石を参照してアクアマリン (アクワマリン) (藍柱石・藍玉)と、 珊瑚 (サンゴ)(コーラル)をご紹介していきます。
そしていつの間にか姿を消していた可哀そうなブラッドストーン (ヘリオトロープ)(血石)を番外編としてお届けしたいと思います。
【 3月 誕生石 アクアマリン (アクワマリン) (藍柱石・藍玉) 】

アクアマリンはベリル(緑柱石)のひとつで青色のものをそう呼びます。
エメラルドやモルガナイトもこのベリルの仲間です。
■モース硬度
モース硬度:7.5程度
■color
一般的に知られているのは透明感のあるスカイブルー。
ですが色の範囲としては青~緑がかった青、強い緑を帯びた青、などさまざまです。
透明度があり色が濃い青であるほど価値が高くなります、
現在市場にでているものは熱処理(300度~400度、熱しすぎると色が消えることがある)によって加工されています。
このエンハンスメント(石が本来持っている性質を引き出すために行う処理のこと。)は基本的には永久性があるとされているため、天然のものとあえて区別されることはないです。
ベリルの結晶の中にはチューブ状のインクルージョンが平行に見られることがあります。
そういった結晶はあえてカボッション加工することで、キャッツアイ効果を出します。

アクアマリンの発色原因は鉄。
親戚と言われるエメラルドはインクルージョンがとても多いのに対し、アクアマリンは全くインクルージョンが見られない原石もしばしば発見されます。
そのためアクアマリンとエメラルドが親戚と評されても特徴はとても対照的。
またいつの間にか3月の誕生石と書かれることの多くなったモルガナイトは美しいピンク色のベリル。
これはアメリカの銀行家兼宝石の収集家であったモルガン(J.P.Morgan)の名に因んで命名されたものです。
ピンクの発色原因はリチウム。
これも産出時は黄色味やオレンジ味を帯びていることが多く、熱処理が施されます。
エメラルドやモルガナイト以外にも、黄色系のベリル(ヘリオドール)(イエロー・ベリル)(ゴールデン・ベリル)や、無色のゴッシェナイトがあります。
更に大変稀少な赤色のビックスバイト(ビキシバイト)もありますが、一般的な宝石ではありません。
■産地
宝石として最高品質のものはブラジル産と言われています。
ですが採掘できる場所はとても多く、スリランカ、ロシア、アフガニスタン、インド、ナイジェリアなどなど。
産出量が激減しているモザンビークに代わり、マダガスカル産が増えているといわれています。
■歴史
・およそ2000年前のローマ人によって「アクアマリン」という名前が付けられたといわれています。
・ヨーロッパにおいてはるか昔から貴族を中心に親しまれてきました。
・1936年 ブラジル政府はアメリカ大統領夫人に重量1.298ctものアクアマリンを贈ったそうです。
これは現在ニューヨーク州のフランクリン・D・ルーズベルト大統領図書館(博物館)に所蔵されています。
・スミソニアン協会で最も人気の高い展示物は、10,363ct(およそ2キロ)のアクアマリンです。
・1910年 史上最大の結晶と呼ばれるアクアマリンがブラジルのミナスジェライスで発見されました。
サイズはなんと110㎏、長さ48㎝、直径38㎝と言われています。
■由来や言い伝え

・ アクアマリン(aquamarine)はラテン語の2つの単語から派生していて、aquaは(水)、marinaは(海の)という意味です。
・神話によれば海底の美しい海の精の宝物であったものが海辺に打ち上げられて宝石になったものがアクアマリンだそう。
(このお話が元になり人魚の涙の逸話などが創作されたといわれています。)
・順調な航海を祈る船乗りたちのマスコットのような石。
・幸福と不老の象徴とされています。
・日本では結婚4周年の石です。
・アクアマリンが生命を育む母なる海を象徴していることから、幸せな結婚や子宝に恵まれるとしてプレゼントとしても人気があります。
・アクアマリンとアクワマリンの表記。
正確には「アクワマリン」が正式な表記です。
しかし認知度としては「アクアマリン」が圧倒的なため、一般的には「アクアマリン」と表記されます。
■誕生石「アクアマリン」のお手入れ & クリーニング
アクアマリンのモース硬度は7.5。
靭性(※靭性とは衝撃に対してどのくらい強く、割れにくいかを示す指標。)もあるので日常的に使用するのにも適しています。
しかし傷をつけたりカケさせたりしないためにも、ぶつけたり落としたりすることの無いよう、気をつけましょう。
普段は柔らかい布でのお手入れで十分ですが、汚れが気になる場合は食器用洗剤を溶かしたぬるま湯で優しく洗ってください。
その後は流水で洗い流し、水気をしっかりとふき取ります。
超音波洗浄機やスチームは、フラクチャーなどがなければ通常は問題ありません。
個別に密閉袋や布などで包んだうえで、ジュエリーボックスなどに保管し、必ず長時間日光が当たってしまう環境は避けましょう。
【 3月 誕生石 珊瑚 (サンゴ)(コーラル) 】

南海の100~1000mの海底に育つ腔腸動物の一種、サンゴ虫の軸骨で樹枝状を示す骨格を珊瑚(コーラル)と言います。
その多くは赤やピンク、白や青などを呈する炭酸カルシウムが主成分。
これは真珠と同じ成分で、真珠と同じく生体鉱物、有機物宝石と呼ばれます。
コーラルと表記する場合は通常宝石としてのサンゴを指します。
■モース硬度
モース硬度:3~3.5
■color

珊瑚はクラゲやイソギンチャクと同じ腔腸動物に属する花虫綱の中の、八放サンゴ亜綱。
さらにその中の貴重サンゴと呼ばれるものだけが、宝石用となるのです。
桃の節句に由来して日本独自の誕生石として仲間入りをした珊瑚。
色は実にさまざまでベニやモモイロ、白、青、黒、金など。
中でも高価とされるのは日本近海で採れる血赤珊瑚(チアカサンゴ)。
染色ではない血赤珊瑚はとても稀少。
その価値も加味され今後も値段は上がっていきそうです。
珊瑚はほかの宝石のように、宝飾品としての価値よりも美術品や骨董としての価値で判断されることもあります。
■産地
良質の珊瑚は基本的には温水域に産します。
・日本の珊瑚は赤やピンク白色をしています。
・地中海やアフリカ沿岸、紅海、マレーシアは赤やピンク。
・西インド諸島やオーストラリア、太平洋諸島沖合では黒や金色が産します。
■歴史
・紀元前2万年前の旧石器時代には珊瑚が使用されていたといいます。
・紀元前8000年ころには珊瑚の加工が行われていたといいます。
・日本でもとてもなじみ深く、帯留めやかんざし印籠や根付などに使われてきました。
・現存する日本最古のサンゴは正倉院に納められている珊瑚のビーズと言われています。
・地中海さんごを古代中国が輸入し七宝の一つ(胡渡)とし珍重しました。
■由来や言い伝え

・嵐を鎮め船酔いを防ぐといわれています。
・ヨーロッパでは「子供を守る」お守りとして身につけられました。
・世界各地で「航海のお守り」として大切にされてきました。
・レッドコーラルはギリシャ神話の言い伝えから「厄除け・魔除け」と考えられています。
・ギリシャ神話の珊瑚
有名なエピソードとしてはメデューサのお話。
◇詳細はこちらをどうぞ→
・coralという言葉は古代ギリシャ語の「korallion」(珊瑚の意)に由来しているそう。
・日本語での表記は「珊瑚」。
「珊」は海の生物の骨が集まってできた石という意味を持ち、「瑚」は祭りの時に稲などを載せる器といった意味を持っています。
古代から日本人も珊瑚を大切にしていきたことが名前からも伝わってきますね。
・日本では3月5日が珊瑚の日として認定されています。
・珊瑚には災いから身を守る力があるとされています。
語呂合わせ的なものなのか…結婚35周年を祝う石にもなっていますし、「産後」ということで出産祝いにも用いられます。
・珊瑚は子供を保護することを連想させるということで、現在でも親から子に贈る習わしが残っています。
■誕生石「珊瑚 (サンゴ)(コーラル)」のお手入れ & クリーニング
珊瑚はモース硬度で3程度。
とても柔らかいものです。
熱や酸、衝撃に弱いので身につける際や保管時は、強い衝撃に注意しましょう。
主成分は炭酸カルシウムなので、変色・変質する可能性があります。
熱に弱いということは、長時間日光に当たるような状況は避けましょう。
塩にも弱いため汗をかいてしまったような場合は、必ず柔らかい布で表面を拭いてからしまうようにしましょう。
汗以外にも化粧品や油分、果汁などがついてしまうと表面のツヤが失われます。
入浴時、調理をする際、スポーツなどの際は必ず外しましょう。
通常のお手入れは柔らかい布での乾拭きで汗や埃などをふき取ることが大切です。
超音波洗浄機、水や洗剤などはご使用いただけません。
(洗剤の使用に関しては珊瑚によっては問題ないものもありますが、自信がない場合はご自身でのケアは避けましょう。)
保管時は他のジュエリーとぶつかることのないように分けて保管しましょう。
もちろん紫外線や日光を遮断できる場所がいいです。
もしツヤを取り戻したいといった場合は、ご自身でどうにかしようとするよりも宝飾品店などへ相談することをお勧めします。
【 番外編 ブラッドストーン (ヘリオトロープ)(血石) 】

いつの間にか三月の誕生石から名前が消えてしまったブラッドストーン。
ヘリオトロープとも呼ばれるこの石は、実はカルセドニー(隠微晶質のクォーツ)の変種。
■モース硬度
モース硬度:7程度
■color
石英の仲間は、透明石-水晶類、透明石-石英類(水晶類より透明度の劣るもの)、半透明石-玉髄類(カルセドニーとアゲートに分類)、不透明石-ジャスパーに分類されます。
酸化鉄由来の赤いインクルージョン入ったダークグリーンのジャスパー(細かい粒の石英の結晶が集まった碧玉)がブラッドストーンの正体。
■産地
主な産地はインド。
ブラジル、中国、オーストラリア、アメリカなどでも産出します。
河川敷の小石として発見されるようなことも…。
■歴史

・古代から中世にかけてブラッドストーンはお守りとして重宝されました。
・古代メソポタミアの人々はブラッドストーンが血と深く関係していると発見し、中世では鼻血を止める効果があるとされていました。
・十字架にかけられたイエス・キリストの足ものにあったジャスパーに、血が滴り落ちてできたのがブラッドストーンであるという伝説もあります。
・日本でも縄文時代より護符として使用されていたようです。
■由来や言い伝え

ブラッドストーンの別名でもあるヘリオトロープ。
ヘリオトロープ(キダチルリソウ)という花もありますが、この植物はギリシャ語の「helios(太陽)」「trope(向く)」から名づけられています。
またかつてギリシャの「ヘリオポリス」という都市でブラッドストーンが産出したことにも由来しているようです
・ブラッドストーンはその見た目から、「blood(血)」「stone(石)」と名付けられました。
・もちろんブラッドストーンもギリシャ神話に登場します。
◇詳しく知りたい方はコチラをどうぞ→
・血液を元気にする、止血に効く、と信じられてきたので、女性の出産のお守りとしても使われてきました。
・ドイツではヘマタイトの事をブラッドストーンと呼んでいたため、緑地に赤い斑点のあるジャスパーはブルーストーンと呼ばれました。
・緑色の地に黄色の斑点上の模様があるものはプラズマと呼ばれました。
■誕生石「ブラッドストーン」のお手入れ & クリーニング
ブラッドストーンはモース硬度で7程度。
強い化学薬品や高熱にさらされないよう注意すれば、問題ありません。
汚れが目立つような場合は水洗い後にしっかりと乾燥させてください。
普段は柔らかい布での乾拭きで十分です。
紫外線での変色などの心配もありませんが、保管時には他のものとぶつからないように保管しましょう。
◇実際のブラッドストーンの写真はこちらをどうぞ→
【 まとめ 】

今回は 3月 の日本の 誕生石 アクアマリン 、 珊瑚 、ブラッドストーンについてご紹介してきました。
どの石も全く雰囲気が違い、それぞれに魅力がありました。
関連がなさそうな石なのに、不思議と共通項があったことにお気づきでしょうか?
アクアマリン も 珊瑚 もブラッドストーンも、出産と関係づけられる石なんですね。
私はパワーストーン的なことは全くわからないのですが、古来からのいい伝えなどは何かしらの裏付けがあるから伝承されていると思っています。
お守りとしての効果のほどは別としても、そんな風に信じられてきた石が日本の3月の誕生石としてピックアップされるというのも何だか不思議ですね。
また今回 3月 の 誕生石 について書いていて、時代の移り変わりとともに誕生石も変化しているんだなぁとしみじみと感じました。
落ち着いた印象のブラッドストーンに代わり、 アクアマリン と親せきということで新しくスポットが当たっているモルガナイト。
私の参照させていただいている日本ジュエリー協会では3月の誕生石にモルガナイトは入っていませんが、宝飾品を扱うサイトでは3月の誕生石として紹介されることも増えてきました。
そんなこと言ったら5月の誕生石のエメラルドはどうなるのかしら、とか少し不安にも感じます…。
そしていつの間にか誕生石からリストラされたブラッドストーンの立場とは…。
時代とニーズでこれからもきっと変化していくものなのでしょうが、なんだかこれも大人の事情があるのでしょうか。
これからも変動も含めて見守っていきたいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!