7月 の 誕生石 ルビー (紅玉)は赤色のコランダムで、ダイヤモンドに次ぐ硬度を持つ宝石です。
宝石の女王、なんていう別名を持っています。
赤色以外のコランダムは総称してサファイアと称され(各々の色名を冠して呼ぶのが通例)、主成分以外の微成分の差によって色が違ってきて各色を示します。
【 7月 誕生石 】

皆さんは7月というと何を思い浮かべますか?
7月といえば七夕や梅雨明けなどが代表的でしょうか。
日本で7月は文月(ふみづき)とも呼ばれます。
そんな 7月 の日本の 誕生石 は ルビー (紅玉)。
(様々なジュエリーショップやサイトを見るとカーネリアンが入っているところもありますが、こちらでは日本ジュエリー協会の掲載する誕生石を参照させていただいています。)
他の月と比べると一種類だけなんて、7月生まれの方はちょっと不公平にも感じるでしょうか。
けれどルビーと一言でいっても、様々なタイプがあるんです。
そのあたりも含めてご紹介していくので、残念がらずにぜひ読んでみてくださいね。
【 ルビー 】

ダイヤモンドの次に固い鉱物であるコランダムの一種であり、宝石の女王と呼ばれます。
かつては王侯貴族のみが身に着けることを許される高貴な石でした。
宝石としても価値の高いルビーは、古くから悪いものから身を守るとされてきました。
そのためか軍神マルスが宿るとされ勝利へ導くお守りとされてきたようです。
まずは基本的な情報から。
■モース硬度
モース硬度:9
コランダム(鋼玉)の変種でダイヤモンドに次ぐ硬度があります。
■color

赤紫から朱色まで様々。中でもピジョンブラッド(鳩の血)と呼ばれるやや紫色を帯びた透明で濃い赤のルビーが最高級品と言われます。
ミャンマーではピジョンブラッドと呼ばれるルビー産出されるものの産出量は少なく、とても貴重です。
主にタイ産の透明度が低く鉄分由来で黒っぽいものはビーフブラッド(牛の血)と呼ばれます。
発色をよくするために加熱処理などが施されることも。
またスリランカやベトナムではチェリーピンクと呼ばれるピンクに近い赤のものが産出されますが、価値は低いとされます。
これ以外にもスター効果が見られる(成分中にルチルの針状結晶が混ざることで反射光が星状に見えるものを指す)スタールビーも。
スター効果が見られる場合はその効果を引き出すため、カボション・カットが施されます。
■産地

基本的には天然ルビーはアジアで産出されます。
主にミャンマー、スリランカ、タイ、ベトナム、カンボジア、タンザニア、マダガスカル、モザンピークなど。
宝石に加工できるクオリティの石が採れる場所は限られています。
ルビーのほとんどは玄武岩、変成岩、大理石などの岩石中に存在しています。
そのため年月を経てルビーを含んだ岩石が崩れ、川などに流され、泥や砂利と堆積しているということが多いです。
■歴史

・ヒンドゥー教の聖典「リグ・ヴァーダ」にルビーが出てくることから、インドでも古くから使われていたことがわかります。
・最も古いルビーの歴史は青銅器時代にさかのぼります。
・古代ギリシャでは石炭の意味を持つ「アンスラックス」と呼ばれ、ローマでも燃える石炭の意味を持つ「カンブンクルス」と呼ばれていました。
・化学的な知識がない中世期以前では赤く透明な石は全てルビーと呼ばれていました。
・1783年 ロメ・ド・リールというフランス人によってルビーとサファイアの成分が同じであることがわかりました。
・1902年 フランスのオーギュスト・ヴェルヌイユによって商業用宝石として初めての人工合成法が開発されました。
■由来や言い伝え

・ルビーはラテン語で「赤」を意味する(rubeus)、「赤い」を意味する(ruber)に由来するといわれています。
・アラビアなどではルビーには病気を治す力があると信じられていましたし、インドでは秘薬として用いられていました。
・ルビーの真っ赤な色は「不滅の炎」であると信じられ、燃え上がる情熱や深い愛情と結びつくものとして考えられていました。
・血の色を思わせる赤さから出血や炎症の病に効果があると信じられ、不死身の力を授けるとして戦場では傷除けの護符として、また女性には出産のお守りとして使われていました。
・ヒンドゥー教の伝説では、嫉妬にかられた宮廷人がマハラジャの婦人を刺殺し、その血がダイヤモンドの上に落ちたとき最初のルビーになったという伝説もあります。
・確認されていた史上最大のルビーと言われているのは、ロシアのエカチェリーナ女帝に贈られたルビー。
透明度がとても高く小型の鶏卵ほどの大きさで、皇帝の冠に飾られていました。
ですがロシア革命後、この史上最大のルビーは行方不明となっています。
■誕生石「ルビー」のお手入れ & クリーニング

ルビー(コランダム)の硬度は9。
モース硬度は10段階ですが、ルビーはその中でも2番目、ダイヤモンドの次に硬度のある鉱物です。
優れた靭性を持っており劈開(衝撃によって割れる性質のこと)がありません。
クリーニング方法としては温かい石鹸水でのお手入れが安全です。
超音波洗浄機やスチームクリーナーは未処理のルビー、加熱処理(石の色を強めたり鮮やかにするために熱を加える手法)のルビー、
格子拡散処理(拡散処理は、色の要因となる元素を浸透させることにより色を変化させる手法)のルビーに基本的に問題なく使えます。
フラクチャー充填、キャビティー充填(見た目のクラリティや外観、安定性を改良するため、ガラス、樹脂、ワックス、オイルなどで充填すること。充填素材は、固形物(ガラス)から液体(油類)まで様々)、または染色のルビーは湿った布で拭くだけにしてください。
基本的には熱や薬品にも強いです。
しかしフラクチャー充填などの処理がされている場合、浸透の度合いによってはレモン汁のような比較的低刺激の物質でも変質を引き起こす可能性もあるので注意が必要です。
【 ルビーとサファイア? 】

ルビーとサファイア
先ほども少し触れましたが、鉱物としては同じものだって知っていましたか?
ルビーもサファイアも鉱物学的にはコランダムという鉱物なんです。
ではルビーとサファイアの違いは何でしょうか。
それはコランダムを構成する中のほんのわずかな不純物(金属イオン)なんです。
不純物というと聞こえが良くないのですが、コランダムが構成されるときにたまたま金属イオンが取り込まれていると赤や青といった発色が起こるのです。
コランダム自体は基本的には無色です。
その中にクロムがほんの少し(1%程度)混入すると濃い赤のルビーとなり、鉄やチタンが混入すると青色のサファイアとなるのです。
そしてクロムが僅か0.1%しか混ざらなかった薄い赤色は「ピンクサファイア」と呼び分けられます。
ルビーの発色原因であるクロムが混じっているのに、ピンクルビーではなく、ピンクサファイアと呼ばれるのもなんだか少し不思議な感じもしますね。

ルビーのクロムの微妙な割合のバランスは自然界の非常にまれな状況下でしか起こりません。
この割合が増えすぎてしまうと色合いは黒っぽくなり、価値は下がります。
更にクロムが5%を超えると価値が更に激減し、工業用の研磨剤として使用されます。
天然のルビーが貴重とされ、重宝されるのはこういったことが理由の1つです。
【 番外編・ カーネリアン 】

7月の誕生石に名前を連ねることもあるカーネリアン。
カーネリアンは鉱物としては石英(石英は結晶構造の違いによって呼び方が変化します)の仲間。
装飾品はもちろん、工芸品などにも用いられ古くから愛されてきた鉱物です。
日本ジュエリー協会の掲載する誕生石には記載がないですが、7月の誕生石と記載するお店やサイトもありますのでカーネリアンについてもご紹介していきます。
■モース硬度
モース硬度:6.5 ~ 7
■color

オレンジや赤褐色など。
(一般的に流通しているカーネリアンは、産出されたままだと色が薄い為、加熱処理・着色処理によって発色を鮮やかにする加工が施されています。)
赤味がかった色は鉄の酸化物によるもの。
色合いは均一でかすかに縞模様が見られるものもあります。
カーネリアンはオレンジ~赤褐色の玉髄(カルセドニー)のことを言います。
瑪瑙(アゲート)と玉髄(カルセドニー)の成分は同じです。
ですが、一般的に縞模様があるものを瑪瑙(アゲート)、縞模様がない半透明の石を玉髄(カルセドニー)と呼び分けます。
しかしカルセドニーグループの中でもオレンジ~赤褐色で縞模様のあるアゲートはサードオニキスと呼ばれます。
■産地
主な原産地はインドやブラジルなど。
■歴史
・古代メソポタミアやエジプトの遺跡からも数多く発掘されています。
・古いものでは紀元前2000年以上前の王墓から発掘されています。
■由来や言い伝え

・幸運のお守りとして、古代エジプトの人々に愛されてきたカーネリアン。
古くから護符として重要視されてきた為、あのナポレオンもカーネリアンで八角形の印章を作り生涯身に着けていたといいます。
・カーネリアン(carnelian)の名前はラテン語で肉を意味する「carnis」に由来しているといわれています。
■カーネリアンのお手入れ & クリーニング
紫外線や日光には強くないので、日光の当たらない場所で保管してください。
超音波洗浄機は避け、使用後は乾いた柔らかい布で丁寧に拭くようにしてください。
【 まとめ 】

結婚40周年のメモリアルジュエリーでもあるルビー。
宝石の女王ともいわれるルビーだからこそ、40周年という節目を飾るのに相応しいとも言えますね。
高級品のイメージが強いですが、品質も様々です。
現在はパワーストーンなどの人気で様々なクォリティのものが世に出ています。
色や透明度で品質やカットの形状も変わるので選択肢もさまざま。
そんな中からお好みのものを探すのもきっと楽しいですね!
番外編としてご紹介したカーネリアンも、鮮やかなオレンジ色がこの季節にぴったり。
見ているだけでも元気になれそうなビタミンカラーです。
以前はカーネリアンと言うと丸いビーズをつかった数珠のようなアクセサリーが主流でしたが、ハンドメイドアクセサリーがポピュラーになった影響もあり、デザインも豊富になっています。
華奢なアクセサリーがお好きな方も、きっと好みのものが見つかると思いますよ!
誕生石のアイテムをお探しの方に、素敵なアクセサリーとの出会いがありますように。
最後までお読みいただきありがとうございました!