6月 の 誕生石 は 真珠 ( パール )と ムーンストーン 。
真珠 ( パール )は貝から採取される宝石のひとつで、 ムーンストーン はフェルドスパー(長石)のグループに属する鉱物です。
今回はこの真珠とムーンストーン、番外編としてアレキサンドライトをご紹介します。
【 6月 誕生石 】

皆さんは6月というと何を思い浮かべますか?
梅雨や紫陽花、ジューンブライドなどが代表的でしょうか。
そんな6月の日本の誕生石は 真珠 (パール)、 ムーンストーン。
(様々なジュエリーショップやサイトを見るとアレキサンドライトが入っているところもありますが、こちらでは日本ジュエリー協会の掲載する誕生石を参照させていただいています。)
誕生石は一か月につき大抵1~2種類が選定されていますが 、6月の誕生石はどちらも女性に人気があり、それでいて価格帯も幅広いのが特徴です。
好みもありますが、どちらも魅力的な6月の誕生石。
選ぶのに迷ってしまいますね。
そんなときはぜひそれぞれの特徴や由来なども知ってみてください。
きっと今まで持っていたイメージとは違う、そんな石の魅力を知るかもしれません。
◇12か月の誕生石について詳しくはこちら→
【 真珠 (パール) 】

宝石の研磨技術が発達していなかった古代ではそのままの形で美しい真珠は、ダイヤモンドより高価だったといわれています。
その美しさは王室や皇室、そしてたくさんの人々に愛されてきました。
昔から真珠は、純粋さや純潔さを連想させます。
そのため、真珠は伝統的に結婚のお祝いに贈られていました。
時代を超越しワードローブに欠かせないこの宝石は、年齢を問わずすべての女性に愛されています。
■モース硬度
モース硬度:2.5〜3.0
■color

ホワイト、クリーム、ライトピンク、ブルーグレー、グレー、ブラック など
■産地

世界各地の海、湖、河川。
真珠は海水や淡水に住む母貝(海水で育つ貝または淡水で育つ貝)の組織の中で育ちます。
貝殻に入った砂や寄生虫など異物の周りで、真珠層と呼ばれる物質を母貝が分泌することで真珠が形成されます。
しかし現在市場にでている真珠は基本的には養殖です。
養殖真珠は海水または淡水で育てられます。
数千年に渡って真珠の捕獲が行われ、天然真珠はほとんど全滅したために現在では大部分が養殖真珠となったのです。
アコヤ真珠の養殖場は主に日本や中国、特に広東省や広西自治区の南部沿岸にあります。
南洋養殖真珠はオーストラリア北部の沿岸からインドネシア、東南アジアの南部沿岸で養殖され、フィリピンにも大規模な養殖場があります。
またフランス領ポリネシアのギャンビア諸島やトゥアモトゥ諸島では、タヒチ黒真珠が養殖されています。
■歴史
・真珠はアラビア湾(ペルシア湾)で少なくとも5000年にわたり発見され、紀元前2000年マンナールの海峡、紀元前300年紅海でも採取されました。
■由来や言い伝え

・古代ギリシャでは、真珠は愛の女神アフロディテの象徴でした。
・中国人は、真珠は龍の脳から生まれたと想像していました。
・クリストファー・コロンブスやその時代の人々は、母貝は真珠を露から形作ると考えていました。
・古代のサンスクリット語の文献、Atharvaveda(アタルヴァヴェーダ)には真珠は長寿と財産を授けると謳われ、アジアでは消化不良や出血を和らげると信じられていました。
・中東の古代の人々は、真珠は天国からこぼれてきた涙である信じていたといわれていますし、「人魚が恋人を想って流した涙が、波にはじけて宝石となった」という伝説も残っています。
・その他にも「月のしずくが結晶になった」「稲妻が貝に入り受胎して生まれた」など、女性的なイメージで表現されることが多い真珠。
・最も有名な天然真珠には、50.56カラット(ct)のLa Peregrina(ラ・ペレグリーナ)があります。
鳩の卵ほど大きいドロップシェイプのこの真珠は、1500年代にパナマ湾で発見され、ヨーロッパの王族財産となりました。
後にこの真珠があしらわれたカルティエのネックレスが、約9億3千万円で落札されたのは記憶にまだ新しいでしょうか。
◇真珠を選ぶ際に知っておいてほしいことはこちらをぜひご覧ください→
■ 6月 の 誕生石 「真珠」のお手入れ方法

真珠は硬度を示すモース硬度で2.5〜3.0です。
(※硬度とは、鉱物の硬さを示す目安のことで、柔らかい順に10段階の基準を作って硬度を比較するのがモース硬度です。
あくまで相対的に鉱物の硬さを調べるために使い、モース硬度は鉱物同士を擦り合わせたり、引っ掻いたりして硬度を比較します。)
比較的柔らかい宝石なので、特別なお手入れが必要です。
他の宝石や金属ジュエリーとは分けて保管し、傷がつかないように防いでください。
その際ビニールなどの袋はNGです。
真珠の表面にダメージを与える可能性があります。
また化粧品やクリーム、香水、ヘアケア製品などは必ず身に付ける前に使うようにしてください。
(真珠を身に着けた後にそういったものを使用すると、真珠についてしまう可能性が高く、真珠にダメージを与えてしまいます。)
真珠をきれいに保つには基本的には着用後毎回、柔らかい布を使い表面をきれいに拭くといった方法でお手入れをしてください。
【 ムーンストーン 】

■モース硬度
モース硬度:6〜6.5
■color

ミルキーホワイト(アデュラレッセンス(青色閃光)が見られる)
(※アデュラレッセンスとはムーンストーンから観察される特殊効果のこと。
アデュラレッセンスは、オーソクレイズとアルバイトからなる層状構造に起因する光の散乱であり、層が薄ければブルー、そうでなければ白色となります。
基本的にはカッティングの際にアデュラレッセンスが石の中心にくるよう双晶面はカボションの底面と平行に石取りされます。)
最高品質のムーンストーンは、背景が無色であると青い光学現象が見られます。
ムーンストーンが属するグループ、フェルドスパー(長石)というのは殆どすべての火成岩中に含まれていて、水晶などの含まれる石英グループとともに地球上の主要造岩鉱物として重要な役割を持っています。
長石のグループは主に3つの構成分子(正長石分、曹長石分、灰長石分)が混ざり合ってできています。
ムーンストーンは正長石の仲間で、カリウムを多く含み、サンストーンやラブラドライトに近い成分を持っています。
フェルドスパーという名称はドイツ語の「フェルトシュパート」(野の石の意味)に由来しているといわれています。
これはフェルドスパーが雨風にさらされることで、植物に有益なカリウムなどの栄養素を沢山出すためです。
■産地

ムーンストーンは、さまざまな場所で発見されます。
例えば、米国のニューメキシコ州、ノースカロライナ州、バージニア州などでも発見されています。
ムーンストーンの産地として世界で最も重要な場所はインドとスリランカですが、ブラジル、マダガスカル、ミャンマー、タンザニアでも採鉱されています。
■歴史

・1890年代~1910年代のアールヌーボー時代、偉大なデザイナーたちが高級ジュエリーにムーンストーンを使ったことで一躍脚光を浴びます。
・ムーンストーンの誕生石は、1960年代の「フラワーチャイルド」運動の間そして1990年代のニューエイジのデザイナーとともに再び注目を浴びるようになりました。
(※フラワーチャイルドとは1960-70年代のアメリカのヒッピーのこと。
『武器ではなく、花を』をスローガンとしベトナム戦争を背景に、平和と愛の象徴として花で身体を飾ったためにこう呼ばれました。)
■由来や言い伝え
・ムーンストーンは、鉱物の長石グループで最も有名な宝石です。
・その昔インドでは、ムーンストーンは月の光が固まってできたものだと信じられていました。
・石の中に月の神ダイアナが宿っているとして、旅人のお守りとされました。
・ローマとギリシャではルナの神々に関連していると考えられ、ヒンドゥー教の神話だとムーンストーンは月光が固まってできたとも伝えられています。
・ムーンストーンのルーツはドイツ語の「モーントシュタイン」(ムーンストーン)。
18世紀後半にフェルドスパーの中でも光沢があるものを指すのに使われたそうです。
・かつてムーンストーンは第三の目のシンボルとされ、陰と陽のバランスを保つと考えられていました。
てんかんや、日射病を防ぎ、頭痛や鼻血を治すとされ、更には豊作を約束する石として信じられていたとか。
■ 6月の誕生石 「ムーンストーン」のお手入れ方法

ムーンストーンは鉱物硬度を示すモース硬度では6〜6.5となり、靭性はあまり優れていません。
(※靭性とは衝撃に対してどのくらい強く、割れにくいかを示す指標。)
高熱に晒されると割れることがあります。
このため、超音波洗浄器やスチームクリーナー使用できません。
柔らかいブラシと温かい石鹸水でクリーニングするをお勧めします。
【番外編・アレキサンドライト 】

■モース硬度
モース硬度:8.5
■color

6月の誕生石に名前を連ねることもあるアレキサンドライト。
アレキサンドライトは異なる照明の下で色が変わる鉱物で、クリソベリルの稀少な変種です。
最も貴重とされているアレキサンドライトの誕生石は、日光や蛍光灯の下では鮮やかな緑色から青味がかった緑色、白熱光の下では強力な赤色から紫がかった赤色を示します。
ある種の細長いインクルージョンが平行に並んでいる場合は、シャトヤンシーまたはキャッツアイ効果が現れます。
(※シャトヤンシーやキャッツアイ効果とは光の効果のひとつ。
針状に並んだインクルージョンをもつ宝石の底面を、そのインクルージョンに平行になるようにカボション・カットすると宝石の表面に猫の目のような明るい光の筋が現れます。)
■産地

壮大なウラル山脈の鉱床は、鉱石の大半が掘り尽くされてしまい、現在は、ブラジル、スリランカ、東アフリカ産が主流となっています。
これら新しい鉱床にはある程度上質の石が含まれていますが、多くは変色性を示すものはなく、色相も濁っています。
その稀少性のため、特に大きなサイズでは、高品質のアレキサンドライトは、より高価な宝石のひとつとなっています。
■歴史
・アレキサンドライトの主要な鉱床は、1831年にロシアのウラル山脈で初めて発見されました。
■由来や言い伝え

石の赤色と緑色が帝国ロシアの軍旗の色を反映していたため、国の注目を集めたといわれています
・この宝石は若き王位後継者、アレクサンドル2世(1818–1881年)にちなんで命名されました。
アレキサンドライトは、その石の赤色と緑色が帝国ロシアの軍旗の色を反映していたため、国の注目を集めたといわれています。
・アレキサンドライトはクリソベリルの変種。
クリソベリルのクリソ(Chryso)(Chrysos)とはギリシア語で金色を示します。
(現在では緑色も含むそう。)
◇アレキサンドライトについてもっと詳しく知りたい方はコチラ→
■ 「アレキサンドライト」のお手入れ方法

アレキサンドライトは比較的硬く、モース硬度は8.5です。
優れた靭性を持ち、衝撃で割れる性質を示す「劈開」はありません。
(※劈開とは結晶や岩石の割れ方がある特定方向へ割れやすいという性質のこと。)
アレキサンドライトは温かい石鹸水で洗浄するのが最適ですが、超音波洗浄器やスチームクリーナーも比較的安全であるとされています。
【 まとめ 】

6月の誕生石 、いかがでしたでしょうか?
6月は祝福の月です。
ジューンブライドという言葉もあるように、式を挙げる方も多いですよね。
6月の誕生石 はそんな式にもふさわしい石も入っています。
12か月の誕生石の中でも特に女性的な石が多い6月の誕生石 。
高級な石もありますがお値段の幅も広いのが特徴です。
そのため選択肢も多いので選ぶ際には迷ってしまいますが、ぜひ素敵なものが見つかりますように。
◇アクセサリーのお手入れ方法についてはコチラをどうぞ→