穴を開けたくない と ブローチ を敬遠している方はとても多いです。
私は20代の頃青山のジュエリーショップに勤務していたこともありますが、穴が開くのが気になって使うのを戸惑うといった声を沢山ききました。
針で刺すのですから、穴が開くのは当然のこと。
ですが少しの工夫で穴は目立たなくできます。
今回は穴を目立たなくするにはどんなことに気をつけたらいいか、お伝えしていきます。
また、それでもやっぱり穴が開くのは嫌、という方のためのアイディアもいくつかご用意してますので、ぜひ最後までお読みいただけたら幸いです。
【 はじめに 】

大切なのはブローチをつける際の基本的な事。
他のアクセサリーとブローチの1番の大きな違いは、肌に直接つけるかどうかという点です。
ブローチは直接肌に触れないので金属アレルギーの方でも比較的安心してお使い頂けるというメリットもありますし、なによりも洋服を留める装身具としての歴史があります。
ネックレスや指輪、イヤリングやピアスのような直接肌に身に着ける装身具と違って、ブローチは布地に立体感を持たせるため装身具。
布地は人が纏うことで洋服やストールとして完成します。
そこにブローチをつけることでより洋服が立体的になり、装いを華やかにするんです。
そんなブローチのつける時に大切な基本はこの3つ。
ブローチ で 穴を開けたくない と考えている方には、このつけ方の基本を見直してみてほしいのです。
①つける素材
②ブローチのつけ方
③落下防止
まずはこの基本の3つについて詳しくご紹介していきます。
【 ブローチの基本:つける素材 】

ブローチをつける素材を選ぶ!
よくブローチのピンの細いものを選びましょう、といった記事を見かけますが、もちろん、ピンの細いものの方が開く穴は小さいです。
ですが、お手持ちのブローチのピンの細さは変えることができないでしょうし、デザインが気に入ったものが偶然ピンも細いなんて言うことはなかなかないですよね。
そもそも…細いピンで、どのくらい?と頭を悩ます方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私はもともと彫金や石の研磨の専門学校に通って、そういった仕事をしていた時期もあります。
そのため彫金用の卸のような資材屋にも通っていました。
そういった卸の彫金用のパーツ店が販売する一般的なブローチのピン部分のパーツは基本的に何種類も太さを用意していません。
真鍮のブローチピンの針ならば太さはあって2~3種類程度、ピンブローチ用の針なら太さが3種類程度くらいでしょうか。
こういった針を他のパーツと組み立てブローチのパーツとなったものが、ハンドメイド用資材として販売されたり、アクセサリーショップなどに並ぶのですから、流通しているブローチの針の太さはそんなにたくさんないはずなのです。
ジュエリー用のものであれば特に細いものもあるかもしれませんし、ご自身でピン部分を削りだしている方であれば細く作ることも可能ですが、大抵のパーツには規格サイズが存在しているはずです。
もちろんこういった規格サイズが存在するよりも前に作られたアンティークのものならば、手作業での制作ですので細いものももちろん存在すると思います。
なので気にするべき事はブローチピンの太さよりも、ブローチのサイズ感などによってつける素材やつける部分を選ぶという事なんです。

例えば大きいサイズのブローチ。
サイズが大きければ比較的重みもあるかもしれません。
こういったブローチは厚手の生地(たとえばファー素材やニット素材)と相性が良いです。
厚手のウールコートのようなアウターなどに合わせるにはもってこいの装身具。
大きめブローチだとあまりに薄い生地には向きませんが、普通地の布につけたいような場合は生地の中でも厚みのある部分(布の端で何重にか重なっているような場所であったり、ステッチになっているような場所)につけましょう。
またシャツやブラウスのボタン替わりに、布が重なる部分に使うのも◎
生地の中でも薄いものにブローチをつけたい場合はできるだけ軽いブローチを選んだり、生地が重なるような場所を選んでください。
またその際は必ず、下記に記載する【 ブローチのつけ方 】を参照してくださいね。
そしてシルクのようなデリケート素材や、極薄の生地(綿ローンやジョーゼット、オーガンジーなど)は繊維にブローチが引っかかり生地を傷めることになるので避けた方が良いです。
【 ブローチの基本:ブローチのつけ方 】

ポイントは「重みを分散させること」
・あて布を使う
厚みがあり、針が通りやすいような生地(例えばフェルトなど)をブローチと同じくらいのサイズに切り取ったものを用意します。
この布をブローチをつける布の裏側にあて、ブローチを通します。
ブローチとブローチをつける布の間に隙間があることによって、ブローチが安定せず動いてしまうと穴が広がる原因になります。
そのため、その隙間を減らすことでブローチを安定させるという改善方法です。

・マスキングテープや絆創膏を使う
上記と同じ考え方で、少しでも隙間を減らすための方法です。
ブローチをつける布の裏側にこれらを使用します。
絆創膏を使用する場合はテープ部分ではなく、布部分に針を通すほうが安定します。またこういった粘着力のあるテープは、布に貼る前に穴を予めあけておきましょう。
貼ってから開けようとするとなかなか通らず、洋服に負担がかかります。

・ブローチピンの通し方
なみ縫いの要領で何か所かに重みが分散するように針を使いましょう。
こうすることで下を向いてしまうブローチも安定しますよ!
※これらの方法を組み合わせてブローチをつけると、より安定するので洋服への負担が減ります。
・こんな方法も?代わりの布を縫い付ける
ブローチのピンの長さ(ブローチのモチーフよりは小さめ)の布地を洋服に縫い付ける方法もあります。
縫い付けた布部分にブローチを留めるので、洋服まではブローチを通しません。
しかし布を用意し、洋服に縫い付けるので技術も必要です。
生地を合わせたり、ブローチがない状態でも気にならないような仕上がりにすることを考えると…あまり現実的ではありません。
・ついてしまった穴を目立たなくする方法は?
穴部分に指先で少し水をつけ、アイロンをかけてください。
指先につけた水で十分なので、このときのアイロンはスチームでなくて大丈夫です。
ですが、衣類によってはあて布をしてください。
あまり穴が大きいようであれば、生地の繊維の細さに合わせた縫い針などで穴の周囲の糸を寄せるように整えてから、水→アイロンの工程を踏んでください。
また豚毛の洋服ブラシなどをお持ちでしたら、そういったもので穴の部分をこすり、水→アイロンでもOKです。
必ずわからないようにできる、とは言えないのですが、かなり目立たなくなると思います。
【 ブローチの基本:落下防止 】

もしもの時に怪我や洋服へのダメージがないように!
ブローチ自体の重さやつける布によって、中には落下する可能性があるものもあります。
先ほどご紹介したようになみ縫いの要領でブローチピンをとめると、ピンが外れて落ちるということは殆どないように思います。
そういったとめ方をしたうえであて布をしていると、ブローチピンはさらに抜けにくくなります。
しかしどれだけ気を付けていても、不測の事態が起こることもあります。
日々メンテナンスして大事に使っていても、ブローチピンの種類や経年経過でばね部分が緩みすぎてしまっていたり…何かに当たった拍子にピンが外れてしまったり…。
そんな不測の事態を防ぐために「ブローチストッパー」といったものも販売されています。
ブローチセーフティだったりブローチ用シリコンストッパーだったりと、製品によって名前は違いますが使い方は基本的には同じもの。
ブローチのピン部分を布に通し、そこにブローチストッパーをつけてから、ブローチピンを留め具にはめるだけです。
これをつけているだけでうっかり留め具がはずれてしまっても、ストッパーがついていることでブローチを落としたりする心配がありません。

高くても数百円程度というものなので、こういった専用の商品をひとつ持っていると、お気に入りのブローチも落下や紛失を気にせずに使えますね。
またお手元にピアスのシリコンキャッチをお持ちでしたら、シリコンキャッチで代用も可能ですよ!
写真はピアスのシリコンキャッチをはめています。
◇ブローチストッパーをお探しの方はコチラをどうぞ→
【 それでもやっぱり抵抗がある方は… 】

ブローチで穴が開く事に抵抗がある方は…
針を通すから穴が開くのであれば、針のないもので代用してみませんか?
これまでできるだけ穴が目立たないようなつけ方やつける素材、穴を目立たなくする方法などご紹介してきました。
しかしやっぱり抵抗ある、といった方もきっと多いと思います。
そんな方には、代用品をご紹介します。
(あくまで代用品なので、ブローチ本来の魅力が発揮できるかどうかはブローチのデザインと代用品との相性、つけ方などにも左右されますのでご容赦ください。)

・代用案:イヤリングパーツ
ハンドメイド作家さんなら見たことがあるかと思いますが、写真のようなイヤリング用のパーツをクリップ代わりに使用します。
つける場所はポケット部分や布地の重なる場所に限られますが、ブローチピン部分をイヤリングパーツで挟んで固定する方法です。
重さやサイズ、噛み合わせの強さなどにもよりますが、2個ほどあれば安定しました。

文房具のクリップなどだとクリップ部分が見えてしまうのですが、こういった形状のイヤリングパーツであれば、片側が短いのであまり目立ちません。
こういったパーツは結合部分をやっとこでかしめる事で、噛み合わせの力を調整ですることができます。
この部分を調整し、硬めに調整してから使用すると安定度も増します。
(パーツによってはこういった調整ができないものも存在しますので、ご注意ください。)

イヤリングパーツを使っても隠せます。
しかしリング状のデザインや小さいモチーフだと上手く隠せないことも…。
もちろんブローチのデザインによってはイヤリングパーツが丸見えになってしまいますので、デザインは選びますがブローチピンがブローチのモチーフに完全に隠れる物であれば可能です。
タイタックピンやピンブローチ、ハットピンのようなものには残念ながら使用できません。
・代用案:マグネット

100均などでも見かけることのある強力マグネット。
これを2個使用する方法です。
1個はブローチ本体に接着剤などを使用し固定します。
接着剤などが完全に硬化したら、マグネットをつけたブローチとマグネットで洋服を挟んで固定するという方法。
接着剤を使用するので、もとになるブローチの状態は変化してしまいます。
そういった点を考えるとあまりお勧めはできません。
またペースメーカー等の医療用電子機器を使用してらっしゃる方はご使用いただけませんし、パソコンやスマートフォン、磁気カードなどはデータの破損などの心配がありますので、近づけないようにしてください。
こちらもタイタックピンやピンブローチ、ハットピンのようなものには残念ながら使用できません。
・代用案:コンバーター
ブローチ本来の使用方法とは違いますが、最近は様々なコンバーターが登場しています。
髪飾りにできるもの、帯留めにできるもの、ネックレスにできるものなどなど。
ひとつ持っているとブローチを他のアイテムとしても使えるので、気分やシーンによって使い分けることができておススメです。
◇たとえばペンダントにするコンバーターはこんなものがあります→
【 まとめ 】

「 穴を開けたくない 、 ブローチ を敬遠している方へ」、というテーマでご紹介してきました。
ブローチは基本のつけ方に添って、穴を広げないように着用することが重要です。
それでも穴が広がってしまったといった時は、ご紹介した穴を目立たなくする方法をぜひ試してみてくださいね。
またやっぱりブローチは穴が気になるから使いたくないけど箪笥の肥やしになっているブローチがあるな…、といった方はコンバーター試していただけたらと思います。
ブローチは小さくても、それひとつでファッションの雰囲気をガラッと変えることのできる影響力のあるアイテム。
洋服だけでなくバッグや帽子とも相性がいいですし、重ね付けにも重宝します。
ブローチをつける位置や向きや洋服との相性…色々と考えると今まで身に着けたことのない方にはなかなかハードルが高く感じるでしょうか。
たしかに少し位置を変えただけでも、雰囲気はとっても変わります。
ですのでおうち時間に色々と試してみると、次回のお出かけへの期待も高まって、きっと楽しい時間になりますよ!
身につけるときのポイントや場所などもそのうちご紹介していきたいと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました!
◇アクセサリーのお手入れ方法などもご紹介しています→