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真鍮 は におい が発生することも…。においの原因と唯一の予防策を解説します。

真鍮 や 金属 は 1-オクテン-3-オン という におい 物質 が原因で特有の におい を発します

今回は 真鍮 の におい を 抑える 方法をご紹介します。

【 はじめに 】

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10円玉や5円玉に触って、手に臭いがついたことはありませんか?

真鍮って臭い?

唐突ですが、真鍮製品の匂いを嗅いだことのある方はいらっしゃるでしょうか?

私は真鍮を扱ったりしていますので時々唐突に、真鍮って臭いですよね?と聞かれることがあります。

最初のうち、私はこの「臭い」の意味があまり理解できませんでした。

確かに真鍮をやすりで削っているときや、仕上げる際に磨いているときなど、金属の匂いが強く感じられることはあります。

こういった金属特有の匂いを気にする方は気にするのかな、と思っていたのですが、どうやら違うのです。

そうおっしゃる方のお話しをよく伺ってみるとどうやら、古い10円玉などを触ったときに手に臭いが付いたことがあり、そのイメージが悪い記憶として残っているといったパターン。

それを伺った時、あ~!なるほど!と思ったのを覚えています。

誰しも人生の中で10円玉や5円玉を触った後、なぜか手に臭いがついている、そんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。

たしかに古い硬貨は、独特な臭いが強かったりします。

最初は臭いが気にならなくても、段々と臭くなっていくんじゃないか、というイメージを持ってらっしゃる方が時々いるのも頷けます。

先ほど例に挙げた10円玉の素材は銅、5円玉の素材の真鍮は銅と亜鉛の合金。

どちらにも共通して銅が含まれています。

けれどだからといって銅を含んだ金属や真鍮が必ずしも臭くなる訳じゃないんです。

ここでは臭いの発生原因と唯一の予防策をご紹介していきます。

【 金属を守る被膜 】

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自由の女神像は緑青によって守られています。

金属からでる臭いを抑える役目も担う「酸化被膜(皮膜)」

まず重要なのは「酸化被膜」というものの存在。

真鍮は空気に触れると表面が徐々に酸化し、酸化銅という被膜に覆われます。

この酸化銅が真鍮の黒ずみの正体です。

鉄などをイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。

鉄製品を放置すると自然と赤い錆が出てきませんか?

鉄鋼、アルミニウム、ステンレスなどの金属の表面に自然発生するものは錆や不働態被膜とも呼ばれます。

これは金属が空気に触れることで酸素と反応し徐々に発生するもの。

通常、酸化被膜は金属の表面を空気から守る効果があるので金属を保護する役目があります。

赤錆自体は隙間が多くもろいので保護膜としてはあまり効果はありませんが、多くの金属はそれぞれにこういった皮膜に守られています。

本来ならばこの酸化被膜によって金属は保護され、この膜があることで独特の金属の匂いも軽減されているのです。

真鍮であれば酸化被膜で表面が黒くなるからといって、これは決して汚れではありません。

これこそが素材自体を保護し、それぞれに表情の異なる真鍮の味わいになっていきます。

じゃあ味わいを出すためにも、金属を守ってくれる被膜を作るためにも、使用後もお手入れをせずに放置していいのかというと…それは間違いなんです。

真鍮はほったらかしにしておくと緑青が出てきてしまうと以前にもご紹介しました。

◇緑青についてはこちらの記事をどうぞ→

鎌倉の大仏様も自由の女神像も、もとはあの色ではなかったんです。

雨風にさらされ経年経過のうちに緑青が表面を覆うことで元の金属(銅)を守り、現在のあの色合いが出来上がっています。

なので先ほどまでの酸化被膜の話を踏まえて考えると、緑青が出る=悪いこと、ではないということはご理解いただけるかと思います。

緑青自体は人体に無害ですし、金属を守るという観点からみると悪者ではありません。

(真鍮は銅と亜鉛の合金。

真鍮の場合緑青によって銅は守られても、亜鉛の成分が腐食し破損する場合もあるので緑青がでないに越したことはありません。)

また真鍮はアクセサリーのみならずカトラリーなどにも使われます。

アクセサリーにでた緑青であればお洋服などに色が移ってしまう可能性も考えられますし、カトラリーであれば食べ物に触れることを考えると、いくら無害といえど緑青がでるような状態は避けた方がよいかと思います。

この酸化被膜自体、丁寧にお手入れをしながら使うことで、金属の表面に均等に張られていきます。

使用後に放置して出来上がった被膜と、お手入れしながら均等に出来上がった被膜とでは、どちらが良いかは言わずともきっとおわかりいただけるかと思います。

【 臭いの正体は? 】

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金属に汗や皮脂が触れると化学反応がおこります。

金属や真鍮が臭いと感じられる場合の正体は?

では臭いの元凶はいったいなんでしょうか?

答えは簡単に言ってしまえば汗や皮脂です。

他のアクセサリーのお手入れの記事や、金属アレルギーの記事でもお伝えしていますが、汗や皮脂って本当に厄介なんです。

この他にはハンドクリームや整髪剤、香水なども金属についたままにしておくのは良くありません。

ここでひとつしっかりとお伝えしたいのは、現在ご自身の真鍮アクセサリーが臭かったとしても、決してその方の汗が臭いとかそういうことではありませんのでどうかご安心を。

汗や皮脂が金属についたまま放置したことが、その臭いを生み出してしまうのです。

金属に汗や皮脂が触れると化学反応がおこり、臭いのもととなる分子が作られるのです。

この化学反応で作られる分子こそが元凶であり、臭いの正体。

金属自体が臭いを出しているわけではなく、人間の皮脂の成分が金属と反応、変化した結果なんですね。

(この臭い物質を1-オクテン-3-オンと言うそうです。)

これを聞くと、なんで硬貨が臭うことがあるのか、納得できるのではないでしょうか。

硬貨は空気や人の汗や皮脂に触れ続けていますよね。

しかも硬貨はアクセサリーやカトラリーのように誰かの手によって定期的にお手入れはされません。

空気や汗、皮脂がついたまま、お手入れをされない期間が長いと酸化被膜も臭いを抑えるという力を充分に発揮できず…。

結果、誰しもが人生の中で臭い硬貨に遭遇することがあるわけです。

硬貨であれば身に着けるわけでもないですし、例え臭かったとしても使った後に手を洗えば良いですが、アクセサリーだとそういう訳にはいきませんよね。

もし臭いが気になってきたら、どれだけのお気に入りでも身に着けることをためらってしまうはず。

だからこそ真鍮アクセサリーは定期的なお手入れと空気を遮断する袋での保管をおススメしています。

臭いが強くなってからだと、お手入れをしてもなかなか改善されなかったりもします。

ぜひ習慣としてお手入れをしていっていただけたらな、と思っています。

◇真鍮のお手入れ方法はこちらをどうぞ→

繰り返しとなってしまいますが、日常的なお手入れは柔らかい布で拭いて、空気を遮断できる袋にしまうこと。

これに勝るケアはないと思います。

お手入れ方法の紹介ブログでは酢を使ったケアも方法の一つとしてご紹介していますが、この方法では酸化被膜を取ってしまいます。

酸化被膜が取れてしまえば、またそれが生成されるまで一定の時間がかかるのです。

普段のケアは柔らかい布での乾拭きで十分ですし、もし黒ずみが気になってきたら重曹ペーストを使ってケアしていただくのが真鍮だけのアクセサリーには向いていると思います。

◇普段用のケアにおススメのキョンセーム革はこちら→


【 まとめ 】

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 真鍮 の におい を 抑える 為に大切なことをご紹介してきました。

昨今真鍮のアクセサリーはちょっとしたブームもあって、人気も上がってきています。

ご自身で育てる楽しみのある真鍮。

経年経過を楽しむことのできる素材ですが、長く付き合っていく為にも気をつけたいポイントを絞ってご紹介しました。

「使用後は柔らかい布で拭いて空気を遮断できる袋で保管する」、というのはどんな素材を使っていてもアクセサリーには共通していることなんです。

ゴールドやシルバー、14KGFもそうですし、一見お手入れの必要のなさそうなステンレスだってそうです。

アクセサリーの劣化や、今回ご紹介した金属の臭いの問題、はたまた金属アレルギーも、その金属だけでは起こりえないのです。

その金属に人の皮脂や汗がつくことで起こる変化です。

柔らかい布は金属を傷つけずに汚れを拭きとるためで、空気を遮断できる袋は空気中のホコリや雑菌の付着・増殖をさせないため、そして空気中の物質と反応することで起こる影響(変色や臭い等)を少しでも遅らせる為なんです。

たとえ高級ジュエリーでなくとも、ご自身で育てた真鍮アクセサリーにはきっと思い入れもひとしお。

そんなお気に入りの一点、ぜひあなたも出会えますように。

どんな形にせよ、そのお手伝いができたらと思い書かせていただきました。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

◇corbata pajaritaの真鍮アクセサリーはこちら。→