ゴールドフィルド 14KGF についてご紹介していきます。
もくじ
【はじめに】
最近はかなり身近になってきた印象のある「ゴールドフィルド」。
実はもともと海外ではとてもポピュラーで、よく使われている素材です。
クォリティの高いジュエリーにも使用され、歴史もあります。
私もアクセサリーを制作する際にゴールドフィルドを選ぶこともあり、好きな素材の1つです。
日本では馴染みの薄い素材でしたが、よく目にするようになったのはここ十数年くらいでしょうか…。
金の高騰などの影響もあってか、百貨店やセレクトショップなどでも見かけるようになっています。
たしかに目にする機会は増えましたが、では、ゴールドフィルドがいったいどういうものなのか知っていますか?
【ゴールドフィルド 14KGF ってどんなもの?】
ではそもそも ゴールドフィルド って何でしょうか?
しっかりとお伝えしたいのはゴールドフィルドの見た目の金色は、金メッキ(コーティング)ではないということ。
K14(金)そのものなのです。
ゴールドフィルドは素材(主に真鍮など)となる金属に金(ゴールド)を圧着したもので金張りなどとも呼ばれます。
圧着した金(ゴールド)の層の重量が、素材を含む総重量の5%以上(1/20以上)の場合にゴールドフィルドと呼びます。
最近よく見かける 14KGF (14Kゴールドフィルド)という表記は、商品の全重量の5%以上が14K(14金)という意味合いです。
これが18K(18金)で圧着されたものであれば18KGF(18金ゴールドフィルド)ですし、12K(12金)で圧着されたものであれば12KGF(12金ゴールドフィルド)です。
別記事でも簡単に触れていますが、基本的に金はとても柔らかく傷つきやすい素材です。
そのため加工のしやすさ、強度、耐久性などの点から、銀や銅、亜鉛などと混ぜ合わせることで金合金として扱われるのが一般的です。
日本で主に純度99.99%の純金とされているものは24K(金)と呼ばれ、18K(金)であれば純金75%と他の金属25%という配合比率です。
アクセサリーで良く聞かれるイエローゴールドやピンクゴールドも18金で、純金75%に対し純銀や純銅の配合比率を変えることでそのそれぞれの色味が作られます。
最近時折見かけるピンクゴールドフィルドは圧着しているゴールドの配合比率によるものです。
【 ゴールドフィルド と金メッキ】
ゴールドフィルドの話をする際にポイントになるのはこの、「圧着」するという方法。
よく耳にする「金メッキ」(ゴールドプレイテッド)という方法とは、金の貼り付け方が大きく違うのです。
そのため、通常の「金メッキ」(ゴールドプレイテッド)と比べて、摩耗しづらい、アレルギーが出づらいと表記されることが多いのです。
ではゴールドフィルドと金メッキ(ゴールドプレイテッド)どんな風に違いがあるか見ていきましょう。
表記自体は ゴールドフィルド (GF)と金メッキ(GP)です。一字違いとはなんとも紛らわしいですね。
ジュエリー加工で行われる金メッキ(GP)は大半が「電気メッキ」という方法です。
これは電気を使ってミクロの分子をフィルムのように付着させます。
イオン化する液体(電解液)の中で、メッキをかけたいものをマイナス極にして通電、そうすると液体の金属イオンが引き寄せられて表面に金属膜ができるという仕組み。
こういったゴールドの色を表現することを目的とした一般的な金メッキ(GP)のメッキの層の厚みは0.1ミクロン以下と言われています。
1ミクロンは1/1000ミリですので、とてつもなく薄いものであることは理解していただけるかと思います。
こういったメッキの場合、衣類との摩擦や生活の中でメッキ層が摩耗していき、悲しいことに数ヶ月~1年程度で剥げてしまうのです。
じゃあ、メッキを厚くすればいいじゃない。…そう思いますよね。しかしそうも簡単なことではないのです。
たしかに金メッキ(GP)でもメッキの層を厚くすることは可能です。
しかしその場合は下地としてニッケルメッキを施すことが多く、金メッキの層が剥がれると下地であるニッケルが露出しアレルギーの原因となることがあるのです。
一方でゴールドフィルド(GF)はというと、 14KGF であればまず初めにとても大きなK14の筒(チューブ=フィルド)が作られます。
その筒の中にベースとなる真鍮などの金属を詰めた状態で、何度も何度もローラーにかけ、徐々に細くします。
(実際の筒よりも少し径の小さい穴に、筒を差し込み引き出す→さらに小さい径の穴に通し引き出す→を繰り替えすとどんどん細く長くなりますよね。そんなイメージです。)
こうすることで外側の肌の触れる部分・目に見える部分はは全てK14の層となります。
金(ゴールド)は高熱と高圧力を加えると他の金属と接着する特性があるため、ゴールドフィルドは金(ゴールド)の特性を生かした加工技術で作られています。
金属と金属の間の境界面は原子レベルで合金化され、そして金(ゴールド)の層が金メッキ(GP)よりもはるかに厚い層となるので、金メッキ(GP)と比べるとゴールドフィルド(GF)は長期間の使用が可能といわれます。
K10やK14などと比べ、内側が真鍮であるゴールドフィルド(GF)は価格面でも安価となるので、アクセサリー、コスチュームジュエリー、眼鏡や時計などの宝飾品、装身具に価値をあげるための材料としても使用されたりします。
【 ゴールドフィルド 14KGF アレルギーの真相】
では実際ゴールドフィルド(GF)はずっと綺麗なゴールドを保っていられるのでしょうか?
答えは難しいところなのですが、厳密に言ってしまえば私は「NO」だと考えています。
アクセサリーとなったゴールドフィルドは、お客様の元に行った後、どのような環境で使用されるかは全く想像ができません。
こういった素材は水や油がNGですよー!使ったら拭いてくださいね、研磨剤のついていない柔らかい布でー!と、いくらアナウンスしていたとしても、個々の性格の差もありますし、強要はできません。
それにいくら説明をしてもうっかり研磨剤がついていない布と勘違いして、研磨剤のついている布で大切に手入れをされてしまう不運だってあるかもしれないのです…。
大抵の販売元の方の説明は「メッキよりもはるかに厚い層で作られている為、長期のご使用でも色が褪せたり剥げることはほとんどありません。」
といった説明が記載されます。これも間違いではないのです。しかし、真実でもないと私は考えます。
ゴールドフィルドのお手入れ方法や使用に関する注意は別の記事で書かせていただいたのでここでは割愛しますが、お手入れをきちんとしていなければ変色することだって十分にあり得ます。
私自身お手入れ方法の記事を書いていますが…もともと楽観主義なところもあるので、すべてをきちんと実行するほどマメではありません。
どちらかといえば、サボりがちです…。
しかし私自身が何年も使用しているゴールドフィルドのアクセサリーはほとんど変色することもなく使えています。
なので実体験も含めて、「色が褪せたり剥げることはほとんどありません。」といった説明を私だってしたいのです。
商品ページで。
ですが、長年ゴールドフィルドのアクセサリーを使用している方から実際変色してしまったものを見せてもらったこともあります。
それが一概に手入れ方法や使用状況の違いであるとは言えないのかもしれませんが、そういったものを見たことがある以上、手放しにその説明はできないと思うのです。(たとえお客様の使用方法に原因があったとしても)
そのような状態になった金属の表面、別の金属が出てきていないとは言い切れないですよね。
圧着されたゴールド部分が摩耗することが絶対にないか、アレルギーが起こることが絶対にないか、それは100%保証されるものではないということですね。
【まとめ】
今回は ゴールドフィルド (14KGF) についてご紹介してきました。
corbata pajaritaではよく使用する素材でもあるので、きちんとご案内しておきたいと考えた素材の一つです。
そのためできるだけ詳細を正直にご案内したつもりです。
現在はハンドメイドブームもあり様々な素材がアクセサリーに使われています。
ぜひ正しく理解してご自身にあったアクセサリーを選んでくださいね。